まもなく投開票を迎える衆議院選挙。石破総理は、国民の厳しい目にさらされる「裏ガネ問題」を抱える議員への対応に追われている。一部議員の非公認、比例重複の不認可という厳しい方針を打ち出し、世論の沈静化を図ろうとするも、その裏には様々な思惑が渦巻いているようだ。jp24h.comでは、実際に選挙区に足を運び、この政治決断の真相に迫る。
自民党内部調査が明らかにした危機的状況
選挙ポスターの前で演説する政治家のイメージ
「このままでは、国民の信頼を失ってしまう…」。重苦しい空気が、自民党本部の一室を支配していた。10月6日午後1時、石破総理は、森山裕幹事長、小泉進次郎選挙対策委員長と共に、党本部で行われた緊急会議に臨んでいた。
会議のテーブルの上には、2つの調査資料。一つは、自民党が独自に行った全国の選挙区情勢調査の結果。そしてもう一つは、自民党の資金運用を取り仕切る「金庫番」こと、元宿仁事務総長が極秘裏に進めていた「元宿調査」と呼ばれるものだった。後者は、旧安倍派の「裏ガネ議員」問題など、苦戦が予想される23の小選挙区に焦点を当てた、より詳細な分析結果をまとめたものだ。
これらの資料が示す結果は、極めて厳しいものだった。自民党が獲得できる議席数は、最大でも過半数ギリギリの233議席。さらに、問題を抱える23選挙区全てで敗北した場合、獲得議席数は210議席にまで落ち込む可能性が指摘されたのだ。210議席となれば、与党である自公連立政権の維持すら危ぶまれる。現有議席247議席から大幅に議席を減らす可能性を示唆する調査結果に、石破総理の表情は暗い影を落とした。
この厳しい状況を打破するため、自民党は当初、「裏ガネ問題」に関与したとされる6人の議員の公認見送りを決定していた。しかし、世論の反発は予想以上に大きく、このままでは不十分との判断を迫られた。そこで、苦渋の決断として、新たに6人の議員を公認候補から外し、合計12人とする異例の対応に踏み切ったのだ。
この追加の6人については、小泉選挙対策委員長周辺がリストを作成したとされており、「どうせ当選する見込みがないのだから、党のイメージアップに利用しよう」という、選挙戦略上の打算が働いたとの見方が強い。
二階元幹事長、激怒!「裏ガネ議員」非公認の余波
選挙活動中の政治家と秘書のイメージ
石破総理の断固たる姿勢を示す狙いもあった「裏ガネ議員」に対する非公認措置。しかし、その影響は、予想外の広がりを見せている。
元幹事長である二階俊博氏は、この決定に激怒しているという。「裏ガネ問題」で離党勧告を受けながら、和歌山2区から出馬する意向を示していた世耕弘成氏の動向について問われた二階氏は、「そんな話は聞いていない!」と声を荒げ、報道陣を突き放した。
二階氏は、長年、地元・和歌山に多大な影響力を持つ重鎮として知られてきた。しかし、今回の選挙では、三男の伸康氏に地盤を譲り、自らは政界引退を表明している。ところが、世耕氏が参議院から鞍替えし、二階氏の地盤である和歌山2区から出馬することが決まったことで、事態は一変した。
世耕氏は、4月に離党勧告を受けた後も、地元での活動を継続。「裏ガネ問題」については多くを語らず、水面下で着々と選挙準備を進めていたようだ。このステルス戦略が功を奏したのか、自民党本部が実施した電話調査では、世耕氏が伸康氏を大きくリードしているという結果が出ている。
地元では、「二階氏は公共事業に力を入れてきたので、建設業界は潤ったが、一般市民にはあまり恩恵がなかった」「これまで、衆議院は二階氏、参議院は世耕氏と、二人を応援してきたが、今回はどちらかを選ばなければならず、世耕氏を支持する人が増えている」といった声が聞かれる。
「裏ガネ議員」への対応を巡り、自民党内では、石破総理に対する反発と、選挙への影響を懸念する声が広がっている。今回の選挙は、石破総理にとって、政権運営能力が問われる、厳しい戦いとなりそうだ。