引っ越しは人生の節目となるイベントですが、その裏側には、私たちがあまり意識することのないトラック運転手たちの苦労が隠されています。今回は、元引っ越し運送ドライバーのDKさんに、引っ越し作業中の路上駐車問題について伺いました。
なぜ路上駐車せざるを得ないのか?
引っ越し作業では、大型家具や家電を搬入・搬出するため、トラックを住宅の近くに停車させる必要があります。しかし、都内の一戸建て住宅やアパートでは、トラックを駐車できるスペースが十分に確保されていないケースがほとんどです。
郊外であれば、玄関前に駐車しても交通の妨げにならない場合もありますが、都内では、道路幅が狭く、対向車とすれ違うのも困難な場所も多く、私有地内に駐車できたとしても、他の住民の通行を妨げてしまうこともあります。
そのため、やむを得ず路上駐車せざるを得ない状況が発生してしまうのです。
道路使用許可を取得しない理由
本来、公道上で荷物の積み下ろしを行う場合は、警察署に道路使用許可申請を提出しなければなりません。しかし、実際には、ほとんどの引っ越し業者が許可を取得していません。
その理由は、許可取得には、申請費用や手続きの手間がかかるだけでなく、カラーコーンの設置やガードマンの配置など、追加費用が発生するケースもあるからです。
また、引っ越し作業では、トラックを搬入口にできるだけ近づけたいという事情もあります。わずか1メートルでも離れてしまうと、重い荷物を抱えて何十往復もすることになり、作業効率が大幅に低下してしまうからです。
引っ越し業者ならではの苦悩
引っ越し業者のトラックは、看板車として、企業名や電話番号などが大きく書かれていることが一般的です。そのため、一般車に比べて目立ちやすく、路上駐車した場合、苦情や通報のリスクが高くなります。
実際、DKさんも、駐車禁止区域に停車せざるを得ない状況で、わずかな時間でもトラックから離れると、すぐに駐車監視員に違反切符を切られた経験があるそうです。
近隣住民へのご理解とご協力のお願い
引っ越し作業中の路上駐車は、近隣住民の皆様にとって、ご迷惑をおかけする行為であることは、引っ越し業者も重々承知しています。
しかし、現状では、やむを得ず路上駐車せざるを得ないケースも多く、皆様のご理解とご協力なしに、引っ越し作業をスムーズに行うことはできません。
近所で引っ越し作業を見かけた際は、「大変だな」と、温かい目で見守っていただけると幸いです。