モディ氏、対中関係で今後も慎重な対応 接近を警戒する米国の動きにも配慮


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インド外務省によると、両首脳は、政府間交渉で事実上の両国国境にあたる実効支配線(LAC)付近のパトロールの取り決めが合意されたことを歓迎。モディ氏は、「境界の平和と安定の維持が最優先課題だ」と述べた。中国国営中央テレビ(電子版)によると、習氏は「双方は意思疎通と協力を強化し、不一致を適切に解決すべきだ」と呼びかけた。

インド軍と中国軍は2020年の衝突で計24人の死者を出し、にらみ合いが続いていたが、インド側は今後両国軍が撤収し、LAC付近の状況が衝突以前の形に戻ることになるとしており、戦略的コミュニケーションを強化する方針だ。

インドは対中関係悪化を受け、直接投資に政府の事前承認を必要とする制度改正を行うなど、経済面でも中国を一定程度、排除してきた。ただ、インドは独立100年を迎える47年の先進国入りを目指しており、中国との経済関係強化を経済成長のテコにしたいとの思惑もある。

もっとも中国は軍事的威圧を強めており、国境問題が解決したわけではない。インド側は中国支配地域側で中国軍が軍施設を着々と建設していることに脅威を感じている。1960年代の中印国境紛争では、インド側は3千人余の死者・行方不明者を出した。

インドにとって気がかりなのは米国など西側諸国の反応だ。

モディ氏の訪露直前、カナダはシーク教徒独立運動指導者殺害事件で、印外交官6人の追放を決定。印政府が事件に関与した情報は米国が提供した。米国はニューヨークで別の指導者殺害を指示したとして元印情報機関員の起訴も発表した。

モディ氏は23日のBRICS首脳会議全体会合で「BRICSは分裂を招くのではなく、人類の利益のために働く組織だ」と述べた。米国の圧力を感じているのは間違いない。(岩田智雄、北京 三塚聖平)



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