天皇皇后両陛下、モンゴル訪問を終えられた 陛下が振り返る「豊かな歴史文化と自然」

モンゴルを訪問されていた天皇皇后両陛下は12日、主な日程を終えられました。両陛下はホスタイ国立公園の草原の中で報道陣の取材に応じ、天皇陛下は今回の訪問について「豊かな歴史文化、素晴らしい自然に触れることができた1週間でした」と振り返られました。国賓として温かく迎えられたことへの感謝や、戦後抑留者慰霊碑への思い、音楽を通じた交流などについて語られた両陛下の記者会見の主なやりとりは以下の通りです。

モンゴル、ホスタイ国立公園で記者の質問に答えられる天皇陛下モンゴル、ホスタイ国立公園で記者の質問に答えられる天皇陛下

滞在の全体的な印象と感謝

モンゴル国政府から国賓として雅子とともに招かれ、訪問できたことを大変うれしく思っています。フレルスフ大統領ご夫妻には、歓迎式典、歓迎の晩さん会、そしてナーダムなどで心温まるもてなしをいただき、心から感謝いたします。行く先々で多くのモンゴルの国民のみなさんに温かく迎えていただいたことも、大変ありがたく感じています。この1週間で、モンゴルの豊かな歴史、文化、そして素晴らしい自然に触れることができました。

自然との触れ合い

ホスタイ国立公園では、野生馬のタヒを比較的近くで見ることができ、その姿を何度も確認できました。モンゴルの豊かな自然を強く感じた瞬間です。

日本人死亡者慰霊碑への思い

戦後、モンゴルで抑留された方々は、政府庁舎などの建設に従事し、厳しい環境にありながらも仕事に力を尽くし、モンゴルの人々から尊敬を集めていたと聞いています。心ならずも故郷から遠く離れた地で亡くなられた方々を、雅子とともに慰霊し、そのご苦労に深く思いを致しました。

晩さん会でのビオラ演奏

国立馬頭琴交響楽団との共演は、モンゴル側からのお誘いによるものです。「浜辺の歌」を選曲したのは、以前、馬頭琴交響楽団が日本で公演した際に演奏されていた曲であり、お願いしやすいと考えたためです。皆さんと一緒に演奏できたことは、私にとって大変素晴らしい思い出となりました。音楽は人に力を与え、人と人とを結ぶ力を持っていると思います。今回の共演が、日本とモンゴルの友好親善のさらなる発展につながるよう願っています。ビオラの練習は忙しい合間を縫って少しずつ続けており、今回のような機会をいただけたことを感謝しています。

お二人での訪問の意義

以前は私単独でモンゴルを訪問し、その時のことは雅子にもいろいろと話をしました。今回、モンゴルの伝統、歴史、文化、自然を二人で一緒に見ることができ、とてもうれしく思っています。

「浜辺の歌」がもたらす響き

私のビオラ演奏が、モンゴルで亡くなられた方々の心に響いたのであれば、大変うれしいことです。おっしゃる通り、「浜辺の歌」には望郷の念といった側面もあるのかもしれません。

愛子さまへの伝達

今回の訪問について、愛子には私たちが実際に見てきたことや、経験したことを、写真なども見せながら話したいと思っています。愛子も幼い頃から相撲に興味を持っており、相撲を通してモンゴルという国に親しみを感じていたのではないかと思います。そうした相撲以外の面も含めて、さまざまな話を共有できればと考えています。

次世代への期待

訪問中、多くの若い人たちに会うことができました。彼らが日本に関心を持ち、非常に高い志で勉学に励み、中には日本への留学を希望している人もいました。彼らの日本に対する熱い思いを感じることができ、大変うれしく思っています。そういった次世代を担う方々が、今後さらに日本への理解を深めてくれることを強く期待しています。

この1週間で、天皇皇后両陛下はモンゴルの豊かな自然、歴史、文化に触れられるとともに、両国関係に尽力した多くの人々と交流されました。国賓としての温かい歓迎に感謝を示され、日本人抑留者の慰霊も行われました。両陛下の訪問は、日本とモンゴルの友好親善関係をさらに深める貴重な機会となりました。