2年半ぶりに復元した写真、映っていた息子の赤いセーター 知床事故


 「この服を着とったんですね」。小柳宝大(みちお)さん(当時34)の父親(65)は、初めて当日の息子の姿を見た。遺体は見つかっていない。だからこそ「この目で見ることができて本当によかった」。セーターは、宝大さんのお気に入りだった。

【写真】復元された写真。乗船前に運航会社の事務所前も撮影していた=橳島優さんの家族提供

 北海道・知床半島沖で26人を乗せた観光船「KAZUI(カズワン)」が沈没してから、2年半が過ぎた。今年8月14日、知床岬付近で1台のデジタルカメラが見つかり、知床を楽しむ乗客の姿が復元された。

 デジカメの持ち主は千葉県松戸市の会社員、橳島(ぬでしま)優さん(当時34)。両親の弁護士によると、今年10月上旬にデジカメの解析が完了。事故があった2022年4月23日の写真約80枚を復元できたという。今年10月20日、札幌市であった家族の交流会で他の家族にも共有された。

 ほとんどは世界自然遺産・知床の大自然を撮影したものだが、優さんを写した写真も1枚あった。出発前の運航会社「知床遊覧船」の事務所や、船に乗り込む乗客の様子をとらえた写真もあった。

 最初の118番通報からおよそ1時間半前、午前11時46分に船内から撮影されたとみられる海の写真もあった。水面はうねり、水滴が窓にいくつもついていた。

朝日新聞社



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