ロシア入りした北朝鮮兵は「弾除けの傭兵にすぎない」 派兵を秘匿…精鋭部隊の特異な実態


■露軍統制下で作戦権限なし

「弾除けの傭兵(ようへい)にすぎない」。韓国の金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防相は24日、国会で北朝鮮の派兵部隊をこう表現し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が「軍隊を違法な侵略戦争に売り渡した。自身の独裁体制を強固にするためだ」と非難した。

派兵は本来、派遣国の指揮体系を維持し、その国の軍服や国旗を明示する。だが、北朝鮮の部隊はロシア軍の軍服を着て露軍将兵に偽装し、「露軍の統制下で何の作戦権限もなく言われるまま動いている」。金国防相はこのため、「傭兵」と表現したのだという。

韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は、北朝鮮が派兵の対価として1人当たり2000ドル(約30万円)相当を得るとの見方を示し、見返りに経済難の打開や朝鮮半島有事でのロシアの介入を期待していると北朝鮮の思惑を分析した。

■現代戦の理解不足、死傷者多発か

露朝首脳は6月、両国の一方が戦争状態となった際の軍事援助を盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名したが、露下院が条約批准を可決したのは今月24日だ。露朝は条約の発効を待たずに、いわば〝密約〟の形で派兵準備を進めてきたことになる。

派兵されたのは「暴風軍団」とも呼ばれる精鋭部隊とされる。ただ、金国防相はウクライナ側が公開したロシア入りした北朝鮮兵とされる映像から「体格は小さく、あどけない」と指摘。韓国当局では、北朝鮮が主に10~20代の新米兵を派兵したとの見方も出ている。

国情院は、北朝鮮が派兵の噂が国内で拡散しないよう厳しい情報統制を敷いていると報告した。だが、派兵部隊に選抜された兵士の家族が「嗚咽(おえつ)して顔がやつれた」との話が出回り、兵士らの家族を集団移住させ、隔離しようとする動きがあるとも説明した。

国情院は、兵士らは体力があり士気は高いものの、無人機からの攻撃など現代戦への理解が不足しており、戦線に出れば死傷者が多数発生するとのロシア側の予想も明らかにした。派兵部隊に実際に多数の死傷者が出て北朝鮮内にその情報が伝われば、金正恩体制にとっての不安定要素となる可能性も否定できない。



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