EVブームの終焉?HV車が再び脚光を浴びるのか?

近年、世界中でEV(電気自動車)ブームが巻き起こり、自動車業界の勢力図を塗り替えるほどの勢いを見せてきました。しかし、ここにきてその勢いに陰りが見え始めています。欧州最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲン(VW)グループは、収益性改善のために大規模なリストラ計画を発表しました。その背景には、EVの販売減速が挙げられています。

一方で、HV(ハイブリッド)車の人気が再燃しつつあります。HV車は、EVとガソリン車の両方のメリットを兼ね備えた車として、以前から一定の支持を集めていました。そして今、EVブームの終焉とともに、HV車が再び脚光を浴びる可能性が出てきたのです。

トヨタの戦略転換:EVからHVへ?

2026年のEV世界販売台数を150万台にするという目標を掲げていたトヨタ自動車は、生産台数を100万台程度に縮小する見通しを発表しました。これは、EV市場の減速を受け、HV車に注力する戦略への転換を示唆しているとも言えます。

実際、HV車はEVに比べて充電インフラの整備が遅れている地域でも利用しやすく、航続距離も長いというメリットがあります。また、価格もEVに比べて安価なため、消費者にとって魅力的な選択肢となりえます。

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中国勢の台頭:EV市場を席巻

EV市場では、BYD(比亜迪)などの中国メーカーが低価格を武器にシェアを拡大しています。テスラも中国市場では苦戦を強いられており、中国勢の勢いは無視できないものとなっています。

中国の自動車メーカーは、政府の支援も受けながら、EVの開発・生産に積極的に取り組んできました。その結果、品質や性能が向上し、世界市場でも競争力を高めています。

自動運転技術の進化:中国がリード

自動運転技術の開発競争においても、中国企業が世界をリードしています。中国では、すでに多くの都市で完全自動運転の無人タクシー(ロボタクシー)が運行されています。

中国政府は、自動運転技術を国家戦略として位置付けており、開発を積極的に支援しています。その結果、中国企業は大量の走行データを取得し、AI技術の開発に活用することで、自動運転技術の進化を加速させています。

中国車の進化:世界を席巻する日も近い?

かつて中国車は、品質やデザインの面で日本車や欧米車に劣るとされてきました。しかし、近年では、そのイメージを払拭するほどの進化を遂げています。

中国の自動車メーカーは、世界的に有名なデザイナーを起用するなど、デザインにも力を入れています。また、品質面でも、日本車や欧米車に劣らないレベルに達しています。

その結果、中国車の輸出台数は年々増加しており、2023年には日本を抜いて世界1位となりました。

HV車とEV車の未来:共存か、競争か?

EVブームの終焉とともに、HV車が再び脚光を浴びる可能性が出てきました。HV車は、EVとガソリン車の両方のメリットを兼ね備えた車として、今後も一定の需要が見込まれます。

一方、EVも、バッテリー技術の進化や充電インフラの整備が進めば、さらに普及していく可能性があります。

HV車とEV車は、今後もしばらくの間、共存していくと考えられます。そして、将来的には、どちらかの技術が主流になっていくのか、注目が集まります。