兵庫9区選挙戦:西村康稔氏、「政治とカネ」問題で逆風の中、公明推薦で「与党候補」をアピール

兵庫9区(明石市、洲本市、南あわじ市、淡路市)で行われている衆議院選挙では、自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受け、「政治とカネ」の問題が大きな争点となっています。

旧安倍派幹部で自民党から公認を得られず無所属で出馬した西村康稔前議員(62)は、公明党の推薦を受け「与党候補」としてアピールしていますが、野党側からは「裏金」批判が展開されるなど、厳しい選挙戦を強いられています。

立憲民主党幹部も応援に駆けつけ「政治改革」を訴える

「政治資金は透明化しなければなりません。厳罰化と透明化、必ず政治改革を断行します!」

24日、JR明石駅北口で立憲民主党の新人、橋本慧悟氏(35)の応援演説を行った小川淳也幹事長は、力強く訴えました。当初は南口での演説を予定していましたが、同じ場所で西村氏の演説会が開かれていたため、急遽変更を余儀なくされました。公示日の15日には、野田佳彦代表も応援に駆けつけるなど、立憲民主党は兵庫9区に力を入れています。

今回の選挙で政治改革が争点となっている背景には、自民党の派閥パーティー収入不記載事件があります。旧安倍派の事務総長を務めていた西村氏は、派閥から還流された100万円を政治資金収支報告書に正しく記載していなかったとされ、党員資格停止1年の処分を受けました。

西村氏、公明党の支援を受け「比例は公明」と呼びかけ

こうした状況の中、西村氏は15日に洲本市内の神社で行われた出陣式で、「敵は野党だ。民主党の悪夢をもう一回やりますか?自公連立政権の『与党候補』として、堂々と戦って勝たせていただきたい」と述べ、自民党との連携を強調しました。

西村氏が「与党候補」を自称するのは、公明党からの推薦が大きいと言えます。公明党は西村氏の集会や街頭演説に積極的に参加し、「小選挙区は西村、比例は公明」と呼びかけています。

公明党幹部の一人は、「従来の選挙では、西村氏からは『比例は公明』という呼びかけは遠慮がちでしたが、今回は非公認ということもあり、堂々とお願いできる」と明かしています。西村氏も出陣式で「比例は公明(と書くこと)も考えていただきたい」と要請しました。

衆院選兵庫9区の候補の街頭演説を聞く人たち=15日、兵庫県明石市(南雲都撮影)衆院選兵庫9区の候補の街頭演説を聞く人たち=15日、兵庫県明石市(南雲都撮影)

保守地盤で「拒否反応」も 西村陣営に危機感

自民党が公認しなかった候補を公明党が推薦することに対しては、野党側から批判の声が上がっています。しかし、公明党幹部は、「西村氏はいずれ自民党に復帰するでしょう。私たちにも謝罪していただいたので、協力関係は維持しておきたい」と説明しています。

一方で、懸念材料もあります。西村氏の陣営関係者は、保守層の厚い淡路島に比べ、明石市では不記載事件に対する「批判的な意見が多い」と明かしています。島内の男性支持者からも「拒否反応は思った以上に強い」という声が上がっており、西村陣営には危機感が広がっています。