長年にわたり日本の政界を支えてきた自民党と公明党の連立関係が白紙となり、政界に大きな衝撃が走っています。10月10日、公明党の斉藤鉄夫代表(73)は自民党との連立政権からの離脱方針を正式に表明しました。同日、斉藤氏と会談した自民党の高市早苗総裁(64)は、記者団に対し「一方的に連立からの離脱を伝えられた」と説明し、この電撃発表の波紋は広がるばかりです。
高市早苗氏と斉藤鉄夫氏の会談、自公連立解消に向けた協議の様子
自公連立解消の背景と政局への影響
1時間半にわたる党首会談で、斉藤氏は自民党の派閥による政治資金問題の責任を問う形で、企業・団体献金の規制強化を強く求めました。しかし、高市氏は「これから検討する」という曖昧な回答を繰り返すに留まり、具体的な言質を得られなかったことが、公明党が連立離脱へと踏み切った決定打となったと見られています。高市氏は新総裁就任後、9日に出演したNHKの番組で「自公連立は基本中の基本」とまで明言していたにもかかわらず、公明党が裏金問題を懸念する中で、政治資金収支報告書に多額の不記載があった萩生田光一氏(62)を幹事長代行に登用したことも、公明党側の不信感を深める一因となったと報じられています。
この連立解消の動きは、今後の政局にも大きな影響を与えることが予想されます。首相指名選挙を巡っては、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党といった野党各党が候補者の一本化に向けた協議を進めており、高市氏が次期首相に選出される可能性は、ますます不透明さを増しています。
野田聖子議員の「内輪批判」が波紋
このような緊迫した状況の中、自民党内部からは“身内”を追い詰めるような発言が飛び出し、新たな波紋を呼んでいます。10月12日に音声プラットフォーム「Voicy」を更新した野田聖子衆院議員(65)は、自民党・公明党の連立解消について言及する中で、新たに発足した高市執行部を批判するような見解を示しました。
野田氏は自身の政治活動に触れ、「私個人は岐阜の活動のなかで、とてもフェアに公明党の皆さんと付き合ってきて、対立することもなかったし、癒着もなかった。いい感じで自然体でお付き合いできてきているので、正直、いまどう表現していいかよくわからないです」と述べ、連立解消への戸惑いを表しました。さらに、「どうなっちゃうんでしょうね?」と問いかけた上で、「人って相手とのコミュニケーションじゃないですか」と切り出し、高市執行部に対し次のように指摘したのです。
「今回の自民党のトップみたいな人たちは常に、自公でやってきてもアンチの発言が多かったんで。人間ってやっぱり悪口を言われると、言った方は忘れちゃう。でも言われた人は一生忘れないって。そういうのもあったのかなぁと思います」
野田氏は続けて、自身の政治活動は「どんな状態でも変わらない」とし、野党時代も与党時代も他党との協力を通じて法律や制度を作ってきた経験をアピール。自民党が福祉や女性政策に弱い部分があることを認めた上で、「自公連立で公明党の方に支えてもらって、いい法律ができた」と、公明党への感謝の気持ちを述べるなど、高市執行部との対比を際立たせる発言をしました。
ネット上の厳しい反応と野田氏の政治的背景
一議員としての私見を述べた野田氏ですが、X(旧Twitter)やインターネット上では、その発言に対して厳しい批判が噴出しています。
「党員が選んだ総裁をなんだと思ってるの?」
「高市さんが気に入らないし、女性初の総理候補だから嫉妬してんじゃないの?」
「自分が女性初の自民党総裁になれなかったから、妬んでいるのでしょう」
「気に入らなければ離党して公明に入党すれば良い。所属しながら公明党を推すのは違う」
「自分は清廉潔白とでも言いたいのだろうか フルスペックで選ばれた総裁、 みんなで一致団結頑張ろうって言ったばっか。何にもしてないのにコケ下ろす一議員。公明党に文句言ってこい。野田聖子、党員バカにしてるわ」
など、党を代表する総裁への「後ろからの銃撃」と捉えられ、野田氏への不満が露わになっています。
野田氏は「Voicy」の中で、公明党が連立解消に至った具体的な理由には触れず、高市執行部の「コミュニケーション不足」を問題視する一方で、自身と公明党との良好な関係を強調する形となりました。野田氏はこれまで、総裁選を巡って何度も悔しい経験をしてきた人物です。2015年、2018年、2020年と3度にわたり、立候補に必要な国会議員20人の推薦人を集められず断念。2021年の総裁選でようやく推薦人を集め出馬できたものの、議員・党員票合わせて63票と最下位に終わり、「日本初の女性首相」を目指す公言とは裏腹に、高市氏に125票もの差をつけられていました。
昨年と今回の総裁選では、自身と同じく選択的夫婦別姓制度の導入を訴える小泉進次郎氏(44)を支援。決選投票で高市氏が当選した際には、「党の大きな“ガラスの天井”を割ってくれた」とエールを送っていましたが、今回の発言は、党員・党友票でトップ当選を果たした高市氏への「後ろからの銃撃」と受け取られかねません。総務相や党総務会長、幹事長代行など要職を歴任してきた野田氏だけに、その発言は党内だけでなく、国民からも注目されています。
日本政治の行方と今後の課題
現在、自民党には「内輪揉め」をしている余裕はないはずです。連立解消という大きな問題に直面し、野党の連携も進む中で、党内の一致団結が求められる局面です。野田氏もこうした状況を深く理解しているはずですが、今回の発言が今後の自民党内部にどのような影響を与えるのか、日本政治の行方と共にその動向が注視されます。
参考文献
- 日本政治に激震!自公連立解消と野田聖子議員の「内輪批判」が波紋 – Yahoo!ニュース