西日本豪雨を経験して
「備えあれば憂いなし」。誰もが知る言葉ですが、実際に災害に直面するまで、その重要性を真に理解するのは難しいものです。元NHK松江放送局キャスターの小笠原知恵さんも、西日本豪雨で実家が被災するまで、防災への意識は高くありませんでした。
2018年の夏、西日本を襲った記録的な豪雨。小笠原さんの故郷である島根県も大きな被害を受けました。実家は浸水し、ライフラインは断絶。避難生活を余儀なくされる中で、小笠原さんは「あの時、もっと備えていれば…」と痛感したと言います。
この経験をきっかけに、小笠原さんは防災士の資格を取得。自らの体験を通して、防災の大切さを伝える活動を始めました。
水、食料、そして現金! 被災時に本当に必要なもの
小笠原さんが被災経験から学んだ、最も重要な備えの一つが「備蓄」です。中でも特に重要なのは、以下の4つだと言います。
防災グッズ
1. 生活用水を含む十分な水の備蓄
「断水は想像以上に深刻です」と小笠原さん。飲み水はもちろん、食器洗い、洗濯、トイレなど、生活用水も必要になります。1人1日3リットルを目安に、数日分の水を備蓄しておくことが大切です。
2. 1週間分の食料確保
被災直後は、食料の供給が不安定になることも。レトルト食品、缶詰、乾パンなど、保存がきくものを用意しておきましょう。
3. 塩分補給も忘れずに
夏場の被災では、熱中症対策も重要です。塩分タブレットや経口補水液なども備蓄しておきましょう。
4. 現金は必須
停電時、クレジットカードや電子マネーは使えません。ある程度の現金は必ず持ち歩くようにしましょう。
避難所は「助けてもらえる場所」ではない
小笠原さんは、避難所に対する誤解にも警鐘を鳴らします。「避難所に行けば、行政が全て面倒を見てくれる」と思っていませんか? 実際には、避難所はあくまでも「避難生活を送るための場所」です。
「避難所に来る人は、みんな被災者。限られた物資は、全員に行き渡るとは限りません。自分に必要なものは、自分で用意する」という意識が大切です。
自分だけでなく、家族の備えも確認を
小笠原さんは、離れて暮らす両親や祖父母のために、定期的に備蓄品の確認も行っています。オンラインショップを利用して、必要なものを送るなど、できることから始めています。
防災は、特別な知識や技術は必要ありません。「もしもの時」のために、できることから始めてみませんか?