【2025年版】世界で最も住みやすい都市ランキング発表:コペンハーゲンが首位、大阪は7位に

デンマークの首都コペンハーゲンが、2025年版の「世界で最も住みやすい都市ランキング」で、長年首位を維持していたオーストリアのウィーンを抑えて新たにトップに輝きました。日本の大阪は、ニュージーランドのオークランドと並び7位にランクインしています。

このランキングは、経済誌「エコノミスト」の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が毎年発表しているものです。EIUは、世界173の都市を対象に、安定性(治安や政治情勢)、医療、文化・環境、教育、インフラという5つの主要な分野で評価し、スコア化しています。2025年版の報告書は、2025年4月14日から5月11日までの間に収集されたデータを基に分析されました。

各分野は100点満点で評価され、コペンハーゲンは特に安定性、教育、インフラの3部門で満点を獲得しました。美しい運河や建築、整った街並みに加え、自転車利用が進んでいることでも知られるこの都市は、総合指数で98.0点を記録しています。

上位5都市には、コペンハーゲンの他、ウィーン、チューリッヒ、ジュネーブといった西ヨーロッパの都市が多くを占めました。アジア太平洋地域からは、メルボルン、シドニー、アデレードといったオーストラリアの主要都市がトップ10入りを果たしています。また、ニュージーランドのオークランドと日本の大阪が同率で7位に入りました。北米で最も順位が高かったのは、カナダのバンクーバーで10位でした。

2025年版世界住みやすい都市ランキングで1位となったデンマークのコペンハーゲンの街並み2025年版世界住みやすい都市ランキングで1位となったデンマークのコペンハーゲンの街並み

前年まで3年連続で首位だったウィーンは、今年は2位に後退しました。これは、安全性が脅かされる事態が発生し、安定性のスコアが5ポイント低下したことが主な要因です。例えば、2024年8月には、テイラー・スウィフトのコンサートを狙った大規模なテロ計画がオーストリア当局によって未然に阻止され、3公演が中止される出来事がありました。さらに、今年に入ってからも首都最大の鉄道駅で爆破予告が発生するなど、情勢不安が影響しています。

多くの都市で医療、教育、インフラのスコアは上昇傾向が見られた一方で、世界的に不安定化や市民の混乱が続いた影響で、世界の住みやすさの平均スコアは76.1点にとどまっています。EIUの業界部門副ディレクター、バルサリ・バタチャリヤ氏はプレスリリースで、「世界的な住みやすさは過去1年でほぼ横ばいだったが、安定性のスコアは2024年に引き続き、世界的に低下している」と述べています。

特に、安定性のスコアは西ヨーロッパや中東・北アフリカ地域で低下が顕著でした。今年はアジアでも、インドや台湾の都市が軍事衝突の脅威にさらされたことで、スコアが下がっています。EIUによる安定性の評価は、犯罪発生率、テロの脅威、軍事紛争、市民の混乱といった要素に基づいています。

アメリカの都市は、トップ20に一つもランクインしませんでした。EIUのプレスリリースによると、その最大の要因は「人種的不平等に根ざした社会不安の増加と、銃規制の緩さにより犯罪がより暴力的かつ致命的になる傾向にある点」とされています。アメリカ国内で最高位はホノルルの23位、次いでアトランタが29位でした。

今年のランキングで最も順位を上げた都市は、サウジアラビアのアル・コバーで、前年から13位上昇しました。次いで、インドネシアのジャカルタが10位上昇しています。サウジアラビアが推進する国家戦略「ビジョン2030」における教育や医療への重点投資が、都市の評価向上につながったと考えられます。

対照的に、最も順位を大きく下げたのはカナダ第3の都市カルガリーでした。昨年の5位から18位へと転落しており、その背景には医療問題の深刻化と情勢不安があると指摘されています。

以下は、2025年版「世界の住みやすい都市」トップ10のリストです。総合指数および各分野のスコアが併記されています。

順位 都市 総合指数 安定性 医療 文化・環境 教育 インフラ
1 コペンハーゲン デンマーク 98.0 100 95.8 96.3 100 100
2 ウィーン オーストリア 97.3 90.0 100 96.3 100 100
3 チューリッヒ スイス 96.5 95.0 100 94.4 91.7 100
4 ジュネーブ スイス 96.1 95.0 100 94.4 83.3 100
5 メルボルン オーストラリア 95.8 95.0 100 94.4 91.7 89.3
6 シドニー オーストラリア 95.7 95.0 100 94.4 91.7 89.3
7 オークランド ニュージーランド 95.4 95.0 100 94.4 83.3 96.4
7 大阪 日本 95.4 95.0 95.8 94.4 83.3 96.4
9 アデレード オーストラリア 95.3 95.0 100 94.4 83.3 89.3
10 バンクーバー カナダ 95.1 90.0 100 94.4 91.7 96.4

今回のランキングは、世界的な情勢不安が都市の住みやすさに影響を与えている現状を改めて示唆する結果となりました。コペンハーゲンの首位獲得とウィーンの順位低下は、安定性がランキングの重要な要素であることを浮き彫りにしています。日本からは大阪がトップ10を維持しており、アジア太平洋地域における主要都市としての地位を示しました。

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