ヘビメタ界の高齢化が止まらない!?往年のファンは熱狂、新規ファン獲得は?

「ヘビーメタル」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか? 爆音、シャウト、ヘッドバンギング… かつて一世を風靡したヘビメタですが、近年はファンの高齢化が深刻化しているようです。往年のファンは今も熱い想いを抱いている一方で、新規ファン獲得は進んでいないのが現状の様です。今回は、ヘビメタ界の高齢化について、実際のライブの様子や専門誌の情報を交えながら探っていきます。

30年ぶりのヘビメタライブで目にした光景とは?

50代のMさんは、高校生の頃にヘビメタに熱中し、ライブに通い詰めていたそうです。しかし、社会人になると徐々に足が遠のき、30年近くライブから遠ざかっていました。

そんなMさんを再びライブに駆り立てたのは、旧友からの誘いでした。9月下旬に来日公演を行った、ヘビメタ界の帝王「IRON MAIDEN」のライブです。

30年ぶりのヘビメタライブに胸を躍らせたMさんでしたが、会場に足を踏み入れると、予想外の光景を目にします。

「客席は、見事におじさんとおばさんばかり。昔は客電が消えると、みんな一斉にヘドバンしてたのに、今回は座ったままの人ばかり…」。

IRON MAIDENはデビューから40年以上が経っており、ファンの年齢層が高いのは想像に難くありません。しかし、アンコール最後の曲まで一度も立ち上がることなくライブを見終えるとは…。往年のファンとしては、少し寂しい気もしますね。

メタル専門誌の表紙は還暦超えのアーティストばかり!?

IRON MAIDENのライブでの出来事は、決して特別なケースではありません。

ハードロック&ヘビメタが全盛期を迎えたのは、BON JOVI、DEF LEPPARD、GUNS N’ ROSES、WHITESNAKEといったバンドがヒットチャートを賑わせていた1980年代後半から1990年代にかけて。

海外ではその後、新しいバンドが登場し、ファン層も世代交代が進みました。しかし、日本では1990年代以降、新たなブームが起きることはなく、70年代、80年代から活躍するベテランバンドが根強い人気を誇っています。

メタル専門誌「Burrn!」の表紙を飾るアーティストを見ても、その傾向は明らかです。

2024年10月号で創刊40周年を迎えた同誌では、40年の歴史を振り返る特集が組まれています。その中で紹介されている過去40年間の表紙を飾ったアーティストを見てみると、METALLICA、AC/DC、MOTLEY CRUE、HELLOWEEN、MEGADETH、BLACK SABBATH、Ozzy Osbourne、Michael Schenker、SLAYERなど、8割以上を還暦超えのベテランアーティストが占めています。

「Burrn!」2024年10月号「Burrn!」2024年10月号

ヘビメタ界の未来は?

ヘビメタ界の高齢化は、ファンが減っていることを意味するのでしょうか? 必ずしもそうとは言い切れません。

長年第一線で活躍するベテランバンドは、今も多くのファンを魅了し続けています。彼らの音楽は、時代を超えて愛される力強さを持っているのでしょう。

一方で、若者世代にもヘビメタの魅力を伝え、新たなファンを獲得していくことも重要です。そのためには、若い世代のアーティストを育成し、彼らが活躍できる場を提供していく必要があるでしょう。

往年のファンと若い世代が共に盛り上がりを見せられるよう、ヘビメタ界全体で未来に向けて歩みを進めていくことが大切なのではないでしょうか。