中国で「日本人の友達」はビジネスチャンス?! 熱すぎる副業事情に驚愕

2010年、7歳の息子を連れて中国の大学院に留学した経済ジャーナリストの浦上早苗さん。新聞記者として12年間活躍した日本で、一体何が彼女を異国の地での挑戦へと駆り立てたのでしょうか?

浦上さんは、中国で少数民族向けの大学で教鞭を執る傍ら、現地の人々の生活や文化に触れ、数々の興味深い体験をしています。その中でも特に印象的だったのが、中国人たちの並外れた「副業熱」だったと言います。

中国・北京市内の賑わう屋台中国・北京市内の賑わう屋台

儲けるチャンスには全力投球?! 中国人の副業観

近年、日本でも副業を認める企業が増え、サイドビジネスという言葉が一般的になりつつあります。しかし、中国ではずっと以前から、「儲けるチャンスがあれば迷わず乗っかる」という国民性が根付いています。

浦上さんは、中国で出会った人々から、ありとあらゆる副業の話を持ちかけられたと言います。その熱意は凄まじく、「日本人の友達」は格好のビジネスチャンスと映るようです。

「あなたは日本人だから、安い仕入れ先を知っているでしょう? 私がネットショップを開くから、仕入れを手伝ってくれませんか?」

こんな誘い文句とともに、個人輸入の共同ビジネスを持ちかけられたことは一度や二度ではありません。浦上さんのもとには、今もなお、ビジネスパートナーを求める声が後を絶たないそうです。

学生も先生も?! 誰もが「起業家」を目指す中国社会

驚くべきことに、この副業熱は、年齢や職業を問わず、中国社会全体に広がっています。

大学で教鞭を執る浦上さんは、学生から将来の夢を尋ねた際、「数年働いたら起業したい」と答える学生が半数近くに上ったことに驚愕したと言います。

また、大学の先生からも「日本ツアーを主催したいので、観光ルートを考えてほしい」「服飾製造の下請けを探しているから、日本のメーカーを紹介してくれないか」などと、副業の相談を受けることもしばしば。

さらには、武術を習っていた少林寺の先生からは、「武術体験の中国旅行を企画するから、顧客開拓を任せた!」と、半ば強引にビジネスパートナーに任命されたこともあったそうです。

「雇われる=搾取」?! 日本とは異なる中国の価値観

中国でここまで副業が盛んな背景には、「雇われることは搾取されるようなもの」という、日本とは全く異なる価値観があるようです。

中国の若者たちは、自分の力で稼ぎ、成功を掴むことに強い憧れを抱いています。そのため、安定よりも、リスクを取ってでも大きなリターンを得られる可能性に魅力を感じ、副業に熱中する人が多いのです。

浦上さんは、彼らから見れば、「日本で十数年働き、それなりの信用と語学力がありながら、無償でバイヤーをしている私は、商才のない愚かな人間に見えるのかもしれません」と、自嘲気味に語っています。

まとめ

中国の熱すぎる副業事情は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。それは、変化の激しい現代社会において、自ら行動し、チャンスを掴み取る積極性の大切さを教えてくれると同時に、異なる文化や価値観への理解を深めることの重要性を改めて認識させてくれます。