東京・目黒川で謎の気泡発生 リニア建設工事との関連は? 国は実質的な調査を拒否


 ことの発端は8月初旬、目黒川にかかる三嶽橋から見て河口方面に謎の気泡が湧いているのを複数の住民が確認し、品川区などに通報したことだ。三嶽橋はJR東海がリニア工事のために建設した「北品川非常口」(立坑)から約100メートルの距離にある。同非常口を発進した直径14メートルのシールドマシンは4月以降に、そのほぼ真下を掘進していた。

 筆者は8月19日に、現場で気泡の発生を確認した。そこで疑いを抱いたのは、この気泡はシールドマシンに使われている「気泡剤」(土砂の掘削を容易にするためのシェービングクリーム状の薬剤)から生じた酸欠空気によるものではないかということだった。

 都内では2018年から20年にかけて、NEXCO東日本(東日本高速道路)が「東京外かく環状道路」(外環)を建設するために直径16メートルのシールドマシンで世田谷区内を流れる野川の下を掘進する中で、やはり気泡が発生。それを採取した市民が酸素濃度を計測したところ6%台という、人が吸えば数分で死に至る酸欠空気であると確認した(※)。ところがNEXCO東日本はそこで工事を中断することなく掘削を続け、20年10月18日に調布市内での陥没事故を招くことになった。

 今回の目黒川の気泡について、シールドマシンを担当する熊谷組JV(ジョイント・ベンチャー=共同企業体)に「シールドマシンからの気泡なのか」と尋ねた筆者に対して、一次情報を持っているはずの熊谷組は「答えられない。JR東海に尋ねてください」と、回答を拒否。すぐに筆者が自身のSNSに気泡の画像と映像を掲載すると、そこで気泡を問題視した市民が動き、山添拓・参議院議員(共産党)を紹介議員とした冒頭の国交省レクが実現した。

 レクで同省鉄道局は「熊谷組は8月初旬に気泡を確認している」と説明したが「気泡の原因究明をしているのか」との山添議員の質問には「河川管理者(品川区)と調整のうえ、水質などの調査の仕方を調整している」と答えるのみ。会場からの「酸素濃度こそ測るべきだ」との声にも「かりにシールドマシンからの気泡だとしても環境には低負荷で、そもそも法令違反の事案でない。われわれは法令指示がないと動けない」と実質的な調査拒否を明言した。



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