【深層韓国】
韓国のサムスン電子、少し前までは「とっくに追い越したのに、日本なんてフーン」といった姿勢だったのに、にわかに「日本に学べ」と言い始めた。
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サムスン電子は主力の半導体部門の落ち込みで苦しんでいるとはいえ、韓国証券市場の時価総額の2割ほどを占めるトップ企業だ。サムスン電子がそうであれば、追随する企業も出てくる。
韓国経済界でいう「学べ」、あるいは「ベンチマークしろ」とは、「(技術などを)いただいてしまえ」と同義だ。そのための、対日スリ寄りだ。「未来志向の両国関係樹立に向けて」といった甘いささやきに乗ると、「また韓国企業にダマされた」と、ホゾを噛むことになりかねない。
石破茂首相は2018年11月、ソウルで「地方創生」について講演したことがある。韓国の最高裁が、自称・徴用工の要求を認める判決を下し、日韓関係が大荒れしていた。そんな時にソウルまで出向いて〝あさっての議題〟の講演をしただけでセンスが疑われる。
姿勢がより問われたのは「地方創生」がテーマだったとはいえ、徴用工問題をスルーしたことだ。
石破氏は講演の2週間ほど後、夕刊フジ記者の「なぜ触れなかったのか」とする質問に対して、「招待を受けておいて、そんな無礼なことができるか」と記者をにらみ返した(夕刊フジ18年12月3日)という。
「招待を受けておいて…」の感覚ではホゾを嚙む
「招待を受けておいて、そんな無礼なことが」
あぁ、日本の一部の人にしか通じない〝腹芸型政治家〟の感覚だと思った。
その石破氏が首相の座に就き、安倍晋三政権の対韓政策を全面的に否定し、「日韓は仲良く」の旗を振っている。
その意向も影響しているのか、どうか。日本の経団連と韓国経済人協会(旧全経連)は10月19日、ソウルで合同懇談会を開き、「双方は、国際的な人材獲得競争が激しさを増すなかで、未来に向けた日韓協力の拡大に向け、半導体やAI、量子コンピューターなどにおける高度人材の活用に向けた連携を推進することで一致した」などとする共同声明を発表した。
韓国経済界の対日接近は、いわゆるビジネスライクではない。「続きは明日にして、今日は一杯やりましょう」となる。「招待を受けておいて…」の感覚の持ち主はズルズルと相手のペースに引き込まれる。
韓国の対日すり寄り…日本にとって、良い結果となったことがあるのだろうか。 (ジャーナリスト・室谷克実)