給食の人気者、揚げパン。カリッとした食感と甘い香りが、子供たちの笑顔を誘います。しかし、この国民的ソウルフードが、存続の危機に立たされていることをご存知でしょうか?本記事では、全国で相次ぐ給食パンの提供中止の現状と、その背景にある深刻な問題に迫ります。
子供たちの憧れ、揚げパンの魅力
東京都大田区立嶺町小学校。揚げパン発祥の地とされるこの学校では、今も昔も揚げパンは大人気。「甘さとパンの絶妙なハーモニー」「外はカリカリ、中はふわふわの食感」「砂糖、きなこ、シナモンなど選べる味」…子供たちは揚げパンの魅力を口々に語ってくれました。
東京都大田区立嶺町小学校の給食風景
給食の栄養士さんによると、揚げパンをおいしく作るコツは「新しい油を使い、高温でサッと揚げること」。この黄金律を守れば、誰もが懐かしいあの味を再現できます。「家庭でも簡単に作れるので、ぜひ親子で挑戦してみてほしい」と、料理研究家の山田花子さん(仮名)も推奨しています。
深刻化する給食パンの供給不足
しかし、そんな揚げパンを含め、給食のパンが全国各地で提供中止の危機に瀕しています。福井市では今年4月から市立小中学校への給食パンの供給が一時停止。三重県大紀町、大分県日田市、沖縄県宮古島市などでも同様の事態が発生しています。
パン屋さんの苦境:採算悪化と後継者不足
その背景にあるのは、給食パン製造業者の減少です。全日本パン協同組合連合会(全パン連)によると、約40年前には全国に6千社ほどあった業者が、現在は1/3以下に。原材料費や燃料費の高騰、人手不足による人件費の上昇など、パン屋を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。さらに、後継者不足も深刻化し、廃業に追い込まれるケースも少なくありません。
「長年地域に根ざし、子供たちの食を支えてきたパン屋さんが、次々と廃業していく現状を目の当たりにするのは辛い」と、食品経済ジャーナリストの佐藤一郎さん(仮名)は嘆きます。
給食の未来を守るために
給食パンの供給不足は、子供たちの食生活だけでなく、地域経済にも大きな影響を与えます。この問題を解決するためには、行政、学校、パン屋、そして地域住民が一体となって、持続可能な給食システムを構築していく必要があります。価格の見直し、補助金の支給、新たな販路の開拓など、様々な取り組みが求められています。
給食のパン、そして揚げパンを守るために、私たち一人ひとりができることは何か、考えてみませんか?