夏季の定番おやつとして子どもたちに人気の市販フルーツゼリー。その美しい色合いと独特の食感は、見る者、食べる者を惹きつけます。しかし、多くの親御さんが、市販のおやつに含まれる「食品添加物」について懸念を抱いているのが現状です。
『食品の裏側』で70万部超のベストセラーを記録した食品添加物の専門家・安部司氏と料理家のタカコナカムラ氏が、この度『日本人なら必ず食べたい安部おやつ』を上梓しました。市販品への不安を抱える人々に「無添加×安心×美味しい」をコンセプトにした新たな選択肢を提示しています。本稿では、安部氏が指摘する市販フルーツゼリーの「裏側」、特にその食感や色の秘密に迫ります。
家庭では不可能な「独特の食感」の秘密
「プルプル」とした市販ゼリーの独特な食感は、家庭で作るゼリーとは明らかに異なります。安部氏によれば、この食感こそ「ゲル化剤」と呼ばれる食品添加物の力によるものです。一般的な寒天やゼラチンだけでは再現できない、加工食品ならではの特性と言えるでしょう。この独特な食感は、消費者にとっての「魅力」である一方で、裏側では添加物がその形成に深く関与していることを示しています。
透明感のある色鮮やかなポーションゼリーが皿に盛られている。これらのゼリーの独特な食感は、家庭では再現が難しいゲル化剤などの食品添加物によって作られていることを示唆する。
「清涼飲料水」と同じ構造?色と香りのマジック
子どもたちが目を奪われるゼリーの鮮やかな色彩や、口いっぱいに広がる豊かなフルーツの香り。これらは、残念ながら自然の果物そのものから来ているわけではありません。安部氏は、市販の多くのフルーツゼリーの構造が「清涼飲料水」と本質的に同じだと指摘します。
これはつまり、「目的の色」と「香料」を組み合わせて、ベースとなる液体に加えるだけで、様々なフルーツフレーバーが生み出されるという仕組みです。具体的な例を挙げると、以下のようになります。
- サイダー + 黄色4号(着色料) + レモン香料 → レモンフレーバー
- サイダー + 黄色5号(着色料) + オレンジ香料 → オレンジフレーバー
- サイダー + 青1号(着色料) + 黄色4号(着色料) + メロン香料 → メロンフレーバー
このように、見た目や香りで「フルーツらしさ」を演出しているに過ぎず、実際にフルーツの成分が豊富に含まれているわけではないケースが多いのです。特に夏場に人気のアイスキャンディやかき氷のシロップも同様の原理で、色鮮やかさが子どもたちを惹きつける大きな要因となっています。
賢い選択で安全なおやつを
市販のフルーツゼリーが持つ「魅力」の多くは、食品添加物によって作り出されていることがお分かりいただけたでしょうか。子どもの健康を願う親として、これらの冷菓・氷菓を選ぶ際には、単なる見た目や味だけでなく、その「裏側」にある成分に目を向けることが重要です。安部氏らが提案する「無添加おやつ」のように、素材の味を活かした安全な選択肢を検討することも、日々の食生活において大切な視点となるでしょう。私たちは、食の安全性を追求し、賢い選択を重ねることで、より豊かな食卓を築くことができます。
参考資料
- 安部司、タカコナカムラ (2025)『日本人なら必ず食べたい安部おやつ』東洋経済新報社.
- Yahoo!ニュース (2024年7月31日). 「その「食感」は危険信号?市販ゼリーに隠された添加物の真実」. https://news.yahoo.co.jp/articles/d2160c5894994298e7a292dc4085965ae3db7ea3
- 東洋経済オンライン. 「市販のゼリーの「ヤバい裏側」と「食品添加物の神様」と呼ばれた安部司氏が「無添加×美味しい」「軽食・おかずにもなる」をコンセプトに考案した「安部おやつ」の大人気メニューの数々」. https://toyokeizai.net/articles/photo/891217?pn=2&utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=inarticle