高校時代、数学コンテストでピタゴラスの定理の新証明方法を発見し、世界を驚かせたアメリカ人女子高生のネキヤ・ジャクソンさんとカルセア・ジョンソンさん。二人の快進撃は止まることを知らず、ついに学術誌への論文掲載という偉業を成し遂げました。本記事では、二人の功績とピタゴラスの定理をめぐる数学界の反応について詳しく解説します。
ピタゴラスの定理とは?その新証明方法とは?
紀元前5世紀に活躍した古代ギリシャの数学者・哲学者ピタゴラス。彼の名を冠したピタゴラスの定理は、「直角三角形の斜辺の二乗は、他の二辺の二乗の和に等しい」という数学の基本原理です。長年にわたり、多くの数学者が代数や幾何学を用いてこの定理を証明してきました。
しかし、ジャクソンさんとジョンソンさんは、なんと三角法を用いて新たな証明方法を発見しました。三角法はピタゴラスの定理を前提としているため、一般的に三角法を用いてピタゴラスの定理を証明することは「循環論法」とされ、非常に困難だと考えられていました。
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二人の功績は、この循環論法を回避する画期的な証明方法を編み出したことにあります。彼女たちは、「私たちの証明に使用した定理は、ピタゴラスの定理が真であることを前提としていない」と論文で明言しています。
学術誌掲載までの軌跡
2022年、高校の数学コンテストでこの新証明方法を発見した二人は、2023年3月には米国数学会の南東部支部会議でその成果を発表。会議最年少発表者として注目を集めました。
その後、ルイジアナ州の大学に進学した二人は、研究をさらに深め、ついに学術誌「アメリカン・マセマティカル・マンスリー」に論文が掲載されるという快挙を達成しました。論文には、最初の証明に加え、新たに9通りの証明方法が詳述されています。
専門家の反応
ブリストル大学数学部のトム・マードック名誉教授は、この研究について「多くの人が不可能だと考えていたことを成し遂げた点が興味深い」と高く評価しています。三角関数を用いた証明は循環論法に陥りやすいにもかかわらず、ピタゴラスの定理を前提としないサインとコサインを用いた論法を見つけた点を賞賛しています。
女性、特に有色人種の女性への希望
ジョンソンさんは、この成果がSTEM分野(科学・技術・工学・数学)において、女性、特に有色人種の女性が活躍できることを示すものだと喜びを語っています。
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二人の研究は、数学界に新たな風を吹き込み、未来の数学者たちに大きな希望を与えています。彼女たちの今後の活躍に期待が高まります。