国連の女性差別撤廃委員会が、日本の女性政策に関する最終見解を公表し、選択的夫婦別姓の導入を改めて勧告しました。今回で4度目となる勧告を受け、日本の対応に注目が集まっています。本記事では、国連の見解や日本の現状、今後の展望について詳しく解説します。
夫婦同姓、国連から4度目の勧告
2024年10月29日、国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し、夫婦同姓を義務付ける民法の規定を見直し、選択的夫婦別姓制度を導入するよう勧告しました。これは、10月17日に行われた日本政府担当者への審査を踏まえたもので、同様の勧告は今回で4度目となります。委員会は、「これまでの勧告に対し、日本は何の行動も取っていない」と、日本政府の対応の遅れを厳しく批判しています。
国連女性差別撤廃委員会の日本の女性政策を審査する会合の様子
選択的夫婦別姓制度は、結婚後も夫婦がそれぞれの姓を保持できる制度です。導入を求める声は多く、女性の社会進出や個人の尊重の観点から重要視されています。一方で、家族の一体感を損なうなどの懸念から反対意見も根強く、日本国内では長年にわたり議論が続いています。
皇室典範改正や中絶規定の見直しも勧告
今回の勧告では、夫婦別姓以外にも、皇室典範の規定や人工妊娠中絶に関する法改正についても言及されました。皇室典範に関しては、男系男子に皇位継承を限定する規定が女性差別撤廃条約の理念と「相いれない」と指摘し、改正を勧告。前回の2016年の審査では、同様の勧告が最終見解案に盛り込まれましたが、日本政府の強い抗議により削除された経緯があります。
人工妊娠中絶については、女性に配偶者の同意を求める規定の撤廃を勧告。さらに、人権侵害を受けた個人らが委員会に直接申し立てできる「選択議定書」の早期批准も促しました。
慰安婦問題への言及も
また、委員会は慰安婦問題にも触れ、被害者への賠償請求などの権利を保証する努力を続けるよう日本政府に求めました。
今後の日本の対応に注目
国連から4度目の勧告を受けた日本政府。今後、どのような対応を取るのか、国内外の注目が集まっています。法整備や社会制度の改革に向けて、積極的な議論と具体的な行動が求められています。専門家の間では、「今回の勧告は、日本政府にとって大きなプレッシャーとなるだろう」との見方が広がっています。例えば、ジェンダー法に詳しい東京大学法学部の山田教授(仮名)は、「国際社会からの圧力が高まる中、日本政府は具体的な対応策を示す必要がある」と指摘しています。
まとめ:選択的夫婦別姓、日本社会の課題
選択的夫婦別姓導入は、日本社会における男女平等の実現に向けた重要な課題です。国連からの度重なる勧告を真摯に受け止め、国民的な議論を深め、未来志向の社会を築いていくことが求められています。