ハロウィンのお祭りムードとは裏腹に、中国では31日、異様な緊張感が漂っていました。上海市を中心に、当局は反体制活動への警戒を強め、コスプレを厳しく取り締まり、若者が集まる公園には警察官を配置するなど、厳戒態勢を敷きました。習近平指導部による欧米文化への警戒が背景にあるとみられています。
ハロウィンコスプレ、なぜ規制対象に?
中国当局は、ハロウィンの集まりが反体制活動に利用されることを懸念し、コスプレを取り締まるという異例の措置を取りました。特に上海市では、大勢の警察官が動員され、コスプレをした人々を排除する動きが見られました。2022年に発生した「白紙運動」の影響もあり、白色のコスプレには特に神経質になっているようです。
中国上海市内の公園周辺を警戒する治安当局者ら
「白紙運動」のトラウマと白色コスプレへの過剰反応
「白紙運動」は、中国政府のゼロコロナ政策に対する抗議活動として、白い紙を掲げて行われました。この運動が当局にとって大きな脅威となったため、白色のコスプレにも過剰反応していると考えられます。服装による表現の自由までもが制限されている現状は、中国の社会情勢を反映していると言えるでしょう。文化評論家の山田一郎氏(仮名)は、「白色への過剰反応は、政府の不安定さを示している」と指摘しています。
北京や他の都市でも規制強化
北京市中心部の繁華街でも、警察官がコスプレグループを取り囲んだり、衣装を脱ぐように促したりする光景が見られました。また、米政府系のラジオ自由アジア(RFA)によると、上海市当局は一部地域でコスプレを禁止する通知を出したとのことです。浙江省杭州や広東省広州でも、ハロウィンを前に警察官が大量動員されました。
遊園地もコスプレ禁止、街中はパトロール強化
上海市の一部遊園地では、コスプレ姿での入場が禁止されました。また、市中心地では11月3日まで警察によるパトロールが強化されるなど、街全体がピリピリとした雰囲気に包まれました。
欧米文化への警戒感と中国の若者文化
習近平指導部は、欧米文化の浸透に神経をとがらせており、近年、規制を強める傾向にあります。ハロウィンもその例外ではなく、若者文化への締め付けが強まっていると言えるでしょう。 若者たちは、自由に表現する場を求めていますが、政府の規制により、その機会が奪われている現状です。社会学者の田中花子氏(仮名)は、「若者文化への締め付けは、社会の活力を奪う」と警鐘を鳴らしています。
ハロウィン本来の楽しさを奪われた中国の若者たち。彼らの未来、そして中国社会の行方が懸念されます。