低コストのスペースプレーン、実現の鍵はそり型発射システム


写真特集:単段式で宇宙に到達、スペースプレーン構想

「X-33」と呼ばれるこの機体は、単段式宇宙輸送機(SSTO)と呼ばれるコンセプトを基礎としている。従来の宇宙飛行では、宇宙船の重量を減らすために上昇中、エンジンと燃料を積んだロケットを機体から切り離し、落下させていたが、SSTOでは、この段階を排除し、代わりに完全に再利用可能な単独の宇宙船を採用している。

X-33は、ペイロードを軌道まで運ぶコストをペイロード1ポンド(約450グラム)あたり1万ドルから1000ドルに下げるため、打ち上げ時はロケットのように垂直に打ち上げられるが、着陸時は飛行機のように滑走路に着陸するように設計されていた。

しかし、X-33の開発計画は、技術的な問題により、2001年に中止された。

X-33計画のプログラムマネージャーを務めた、航空宇宙エンジニアで元米空軍の宇宙飛行士のリビングストン・ホルダー氏は、SSTOの夢を復活させるため、2016年にシアトルでラディアン・エアロスペースを共同設立し、現在は同社の最高技術責任者(CTO)を務めている。

「X33以降、状況が劇的に変化した。当時よりも軽く、丈夫で、より大きな温度変化に耐えられる複合材料が手に入るようになった。推進剤の燃焼効率やシステムの重量の観点から見て、推進力はかつてなく高い水準にある」(ホルダー氏)

こうした最新技術のたまものが新型スペースプレーン「ラディアン・ワン」だ。従来の垂直発射の代わりに、「ロケット推進式そり」という非常に独特な発射システムを採用している。

無駄の多い多段式

ホフマン氏によると、ロケットがこの速度に到達するには、質量の95%を燃料に割かなければならず、その結果、燃料以外のものを積むスペースはほとんどなくなるという。「単段式で軌道に到達するのは夢だ」とホフマン氏。「しかしそのためには、ロケットの構造やエンジン、ペイロードがシステム全体の総質量の約5%を超えてはならない。そんなロケットを作る方法は分かっていない」

このため、軌道到達に使用されるロケットはこれまで全て多段式だった。ただ、スペースXのファルコン9のような現在のロケットは2段式で、アポロの月探査ミッションで使われた3段式のサターンVのような従来のロケットに比べ段数が少ない。

ホフマン氏の言う「ロケット方程式の専制」、燃料の重量を宇宙まで運ばねばならないという問題を解決するのは簡単ではない。ラディアンが考案した解決策は、ロケット推進式のそりだ。このそりは、長さ2マイル(約3.2キロ)のレール上を滑走し、マッハ0.7(時速約864キロ)まで加速した後、そりの上からスペースプレーンが飛び立つ。その後、スペースプレーンは自らのエンジンの力で軌道まで飛行する。



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