JR東日本の赤字路線、久留里線の現状と、相模鉄道が開催するAIを活用した鉄道撮影イベントについて解説します。近年の鉄道を取り巻く環境の変化を垣間見ることができる二つの話題です。
久留里線、一部区間廃止の可能性も?深刻な赤字と利用者減少の実態
JR東日本が2023年度の経営情報を開示し、久留里線の一部区間、久留里~上総亀山間が深刻な赤字であることが明らかになりました。収支率はわずか0.7%、2億3500万円の赤字となっています。100円の収益を得るのに1万3580円もの費用がかかる計算になり、営業係数は驚異の1万3580円。これは、JR東日本管内でもワーストの数値です。
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1989年度以降、利用者の減少が続いている久留里線。特に久留里~上総亀山間は、2023年度の1日平均利用者数がわずか64人という深刻な状況です。この現状を受け、JR東日本は千葉県などと今後の対応策を協議しています。
10月21日に開催された第5回検討会議では、報告書案が示されました。報告書案では、鉄道、高速バス、デマンド交通といった既存の公共交通機関が地域の移動需要に適していないと指摘。自動車中心の交通体系への移行が地域住民の利便性向上につながるとの見解を示し、より利便性が高く持続可能な公共交通の構築を目指す方針が示されました。
千葉県を中心に広がる久留里線沿線。過疎化や高齢化に加え、自動車の普及により鉄道利用者が減少している地域は少なくありません。久留里線も例外ではなく、厳しい現実に直面しているのです。鉄道ジャーナリストの山田鉄男氏(仮名)は、「地方路線の維持は難しい問題です。利用者のニーズを的確に捉え、地域に根ざした持続可能な交通システムを構築することが重要です。」と述べています。
相鉄、AIで「撮り鉄」トラブル撲滅へ!安全な撮影マナー啓発イベント開催
相模鉄道は、アドビと共同で「楽しく撮り鉄! 生成AIで鉄道写真をもっと簡単に!」イベントを開催すると発表しました。11月24日に開催されるこのイベントでは、車両撮影会に加え、アドビの画像編集ソフト「Adobe Express」を使ったワークショップを実施。写真に写り込んだ不要なものを生成AI技術で除去する体験を提供します。
近年、鉄道ファンの間では「撮り鉄」と呼ばれる鉄道写真の撮影をめぐるトラブルが増加しており、中には刑事事件に発展するケースも発生しています。例えば、撮影の邪魔になる木を無断で伐採するといった行為も報告されています。
相鉄とアドビは、生成AI技術を活用することで、このようなトラブルを未然に防ぎ、安全な鉄道撮影マナーの啓発につなげたいと考えています。不要なものを簡単に除去できる機能を紹介することで、危険な場所や迷惑行為に及ぶことなく、誰もが安心して鉄道写真を楽しめる環境づくりを目指しています。
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このイベントは無料で参加できますが、定員は30名で抽選制となっています。鉄道写真愛好家にとっては、最新の技術に触れながら安全な撮影マナーを学ぶ貴重な機会となりそうです。「鉄道会社がAI技術を活用したイベントを開催するのは画期的です。安全な撮影マナーの普及に貢献するだけでなく、鉄道ファンの裾野を広げることにもつながるでしょう。」と鉄道文化研究家の佐藤美紀氏(仮名)は期待を寄せています。
久留里線の厳しい現状と、相鉄のAI活用による新たな取り組み。対照的な二つのニュースは、変化の激しい現代における鉄道の未来を私たちに問いかけていると言えるでしょう。