国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均給与は460万円です。老後資金として「2,000万円必要」「ゆとりには3,000万円」と言われますが、現在の収入でこれらが本当に十分なのか、公的データからその現実を検証します。
日本の平均年収と老後資金の貯蓄イメージ。貯金箱に小銭を入れる手のクローズアップ。
正規・非正規の給与格差と給与所得者全体の平均
「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、正規社員の平均給与は530万円に対し、非正規社員は202万円と約2.6倍の差があります。一年を通じて勤務した全給与所得者5,076万人の平均給与は460万円(男性569万円・女性316万円)でした。
「老後2000万円問題」と平均年金の現実
世間を賑わせた「老後2,000万円問題」。厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)受給者3,622万人の平均月額年金は約14万7,360円、年額約177万円です。これは平均給与460万円(正規社員530万円)に比べると大幅に低く、定年後の生活費を賄うには自己資産の取り崩しが避けられないことが分かります。
年収460万円で2,000万円を貯める厳しさ
年収460万円の場合、月々の給与約38万円、手取りは30万円ほどです。理想の貯蓄率15%(月4.5万円、年54万円)を40年間続けると約2,160万円貯まる計算です。「老後2,000万円問題」の試算では、この金額は「生活できるレベル」であり、「ゆとりある生活」には3,000万円以上が必要とされました。収入の15%貯蓄はかなりの節約を強いられ、多くの日本人にとって「カツカツの老後」を何とか暮らしていくのが現実と言えるでしょう。
結論
日本の平均収入で「老後2,000万円」を貯めるのは非常に困難であり、達成できたとしても「カツカツの老後」が現実です。年金だけでは生活費が不足し、多くの人々が厳しい老後を強いられる現状が浮き彫りになります。
参考文献
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」