高齢化社会が進む日本において、病院や自宅に次いで「介護施設」で最期を迎える方が増えています。人生の最終章を介護施設で過ごすということは、どのようなことなのでしょうか?この記事では、介護施設での看取りについて、入居者本人と家族の視点から、そして介護の専門家のアドバイスを交えながら、深く掘り下げていきます。
入居当初の元気な姿と、やがて訪れる「その時」
介護施設で談笑する高齢者
介護施設に入居されたばかりの頃は、多くの方がまだお元気です。カラオケで美声を響かせたり、旅行の計画を立てたり、家族との思い出話を楽しんだり。中には、「ここの食事はちょっと…」と正直な感想を述べる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、誰もが避けては通れない「その時」は、いつ訪れるか分かりません。
家族が知っておくべきこと、考えておくべきこと
介護施設で相談する家族
入居当初は元気な姿を見ていると、終末期や看取りについて考えるのは難しいかもしれません。しかし、介護の専門家である山田花子さん(仮名)は、「入居時の面談で、将来起こりうる状況について具体的に家族と話し合うことが重要」と指摘します。例えば、「急変時に救急車を呼ぶか」「延命治療をどこまで行うか」など、事前に家族の意思を確認しておくことで、いざという時に慌てずに済みます。
具体的な質問例と、その意図
介護施設で考える家族
山田さんは、面談の際に以下のような質問を投げかけるそうです。「食べられなくなった場合、胃ろうなどの経管栄養を行いますか?」「経管栄養も困難になった場合、点滴による栄養補給を行いますか?」。これらの質問は、延命治療の是非を問うだけでなく、入居者本人のQOL(生活の質)を最優先に考えた上で、どのようなケアを提供していくべきかを検討するための大切な情報となります。
大切なのは、入居者本人の意思を尊重すること
高齢者介護の専門誌「介護の未来」によると、終末期における医療・ケアの選択において最も重要なのは、入居者本人の意思を尊重することです。そのためにも、日頃から家族間で、そして施設職員との間で、入居者本人の希望や価値観について話し合っておくことが大切です。
介護施設での看取り:多様な選択肢と、家族の役割
介護施設での看取りは、病院での医療行為とは異なる側面を持ちます。入居者にとって住み慣れた場所である介護施設で、穏やかに最期を迎えるためには、入居者本人、家族、そして施設職員が三位一体となって、最善のケアを模索していく必要があります。