米大統領選挙開票に13日かかる可能性も…269対269で同率もあり得る


①いつ結果が出るか

2020年の大統領選挙では選挙後4日目にバイデン氏当選の知らせが伝えられた。今回はさらに遅くなるかもしれない。3日基準で2020年の投票者の23%に相当する約3534万人の有権者がした郵便投票がカギだ。7大激戦州のうちネバダ州を除くと5日までに到着する郵便投票用紙を開票集計に反映する。ネバダ州は郵便の消印が5日までに押されていれば9日到着分まで反映する。また、ペンシルベニア州とウィスコンシン州は他の5州とは違い郵便投票開票を大統領選挙当日に始める。AP通信はアリゾナ州では開票完了が最長13日かかるとみている。地域が広く選挙日から最大5日までは有権者が投票用紙を修正できる道を開いておくためだ。

郵便投票が重要なのは開票序盤にトップを走っている候補が郵便投票開票後に追い越されることがあるためだ。4年前には選挙当日夜にトランプ氏が優勢な「レッド・ミラージュ」(共和党蜃気楼)が現れたが、郵便投票開票後にバイデン氏が逆転する「ブルー・シフト」(民主党転換)」現象が起きた。

②票の再点検で変数はないか

開票が完了してもそれで終わりではない。全米州議会協議会(NCSL)によると、41州では州で定めたわずかな票差基準以内で勝負が決まった場合、敗北した候補からの要請などにより票の再点検が可能だ。ウィスコンシン州とネバダ州では票の再点検制限要件が事実上ない。世論調査の通りに2人の候補が薄氷の得票率を記録すれば激戦州で行われる票の再点検により結果発表が遅れることは確実だ。2000年の大統領選挙での状況が再演される可能性もある。当時激戦州だったフロリダ州で0.5ポイント差の得票率が出てくると、民主党と共和党が票の再点検をめぐって法廷争いを行い、35日ぶりに当選者が確定した。

③トランプ氏の選挙不服の可能性は

可能性は高い方だ。トランプ氏は「2020年の選挙詐欺行為が繰り返される」という疑惑を提起している。米国のメディアは大統領選挙敗北時の結果不服宣言に向けた事前準備をしているものとみる。4年前のように開票中に奇襲で「勝利」を発表し、その後の結果を否定するかもしれないということだ。「米国を再び偉大に」と呼び掛ける「MAGA(Make America Great Again)」の活動家を動員した組織的な不服活動を行う可能性がある。実際に共和党全国委員会(RNC)とトランプ陣営は4月に「選挙完全性」プログラムを結成している。激戦州に10万人のボランティアメンバーと弁護士を配置して選挙に「欠陥」があったと判断する場合には多量の異議申し立てと訴訟で結果を正すという考えだ。民主党は大統領選挙の結果確定を防ぐための無分別な「ゾンビ訴訟」と批判する。

④2020年とは違う?

4年前よりも不服運動は激しくないだろうという見方も出ている。現職大統領ではないトランプ氏は政権の権限を大統領選挙の不服に動員できないからだ。選挙当局も4年前と違い、投開票過程でセキュリティを強化した上に、議会では2022年に「選挙開票改革法」をまとめてむやみに選挙結果批准を阻止できないように対応中だ。だがXなどSNSを通じたフェイク情報拡散と世論戦による米国社会の混乱の可能性は相変わらずだ。

⑤269対269で同点も可能?

米大統領選挙は州ごとに割り当てられた選挙人団538人の過半数である270人以上を確保すれば勝利する。各州で1票でも多く得た候補が州の選挙人団を全部持っていく勝者総取り方式をとる。両候補が269人で同数の選挙人団を確保する場合もある。激戦州のうちハリス氏がラストベルトのミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州ですべて勝っても、トランプ氏がサンベルトのアリゾナ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、ネバダ州で勝ち、勝者総取り方式でないメーン州とネブラスカ州で1人の選挙人団を確保すれば269人対269人で同率になる。こうなった場合、次期大統領は来年1月の連邦下院投票で決定される。今回の大統領選挙とともに行われる下院選挙で共和党が多数党になるならばトランプ氏の当選確率が高くなる。



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