スペイン南東部を襲った記録的な豪雨により、バレンシアにある大型ショッピングモール「ボナイレ・アルダイア・ショッピング・センター」の地下駐車場が浸水し、多数の犠牲者が出ている惨事。懸命の排水作業と捜索活動が続けられていますが、更なる犠牲者発見の懸念が高まっています。
浸水した地下駐車場、排水作業難航
バレンシア市救助隊は、ショッピングモールの地下駐車場から水を汲み出す作業を続けています。しかし、5800台収容規模という広大な駐車場は3メートルもの高さまで浸水しており、作業は難航を極めているとのことです。地下駐車場への入り口も水没していたため、初期の捜索活動は事実上不可能でした。
altバレンシアのショッピングモール地下駐車場、排水作業の様子。大量の泥水が排水ポンプから勢いよく排出されている。
犠牲者増加の懸念、現場は「共同墓地」か
すでにダイバーによる捜索で数名の遺体が発見されていますが、泥水により視界が遮られ、捜索は一時中断されました。このショッピングモールはバレンシアで最大級の規模を誇り、多くの人々が利用していたことから、救助当局は更なる犠牲者の発見を覚悟しています。一部の消息筋は、現地メディアに対し、この地下駐車場を「共同墓地」と表現するなど、悲痛な現状が伝えられています。
スペイン運輸大臣も犠牲者増加の可能性を示唆
オスカル・プエンテ運輸大臣も、X(旧Twitter)への投稿で、「浸水した地下空間での死亡者発見の可能性がある」と述べ、事態の深刻さを改めて強調しました。また、「現時点で犠牲者数を推測するのは時期尚早」と慎重な姿勢を示しています。
豪雨による死者217人に、行方不明者も多数
今回の豪雨による死者は、11月3日時点で217人に達しています。スペイン当局は、数十人の行方不明者がいると推定しており、捜索活動は引き続き続けられます。
altスペイン国旗。未曾有の豪雨災害に国中が悲しみに包まれている。
カタルーニャ州バルセロナにも大雨、空港が一部浸水
豪雨の影響は他の地域にも及んでおり、カタルーニャ州バルセロナでは一時、大雨赤色警報が発令されました。バルセロナ空港も一部浸水し、約50便の航空便が欠航または遅延、17便が航路変更を余儀なくされました。
今回の豪雨災害は、スペイン社会に大きな衝撃を与えています。一日も早い復旧と、行方不明者の発見を願うばかりです。