ペットビジネスの闇:年間2万5千匹の犠牲、その背後にある残酷な現実とは?

ペットショップのかわいらしい子犬や子猫。その愛らしい姿の裏には、年間2万5千匹もの犬猫が流通過程で命を落としているという残酷な現実が存在します。朝日新聞記者・太田匡彦氏が17年に渡る取材で明らかにしたペットビジネスの闇、その実態に迫ります。

流通過程で失われる2万5千匹の命

2014年度から2022年度の9年間で、繁殖から小売りまでの過程で22万3118匹もの犬猫が死亡しています。これは朝日新聞の独自調査によるもので、自治体への報告書を基に集計されました。この数字には死産は含まれず、繁殖引退犬も含まれていません。報告義務を怠る業者も存在し、報告書の信憑性にも疑問が残ります。つまり、実際の死亡数はさらに多い可能性が高いのです。

altaltペットオークションの様子。多くの犬猫が商品として扱われています。

この年間約2万5千匹という死亡数は、全国の自治体による殺処分数をはるかに上回ります。ペットショップの華やかなショーケースの裏側には、想像を絶する数の犠牲と深い闇が隠されているのです。

17年の取材で見えてきた残酷な実態

太田氏は17年間、ペット業界を取材してきました。当初は行政も業者も取材に非協力的でした。情報公開請求を繰り返し、膨大な資料と格闘する中で、売れ残りや繁殖引退犬が行政に持ち込まれ、殺処分されている実態を明らかにしました。

しかし、それは氷山の一角に過ぎませんでした。取材を進めるにつれ、動物をモノとしか見ていない、場合によってはモノ以下に扱う残酷な世界が明らかになっていったのです。

無理な繁殖と病気を招く交配

利益を追求するあまり、無理な繁殖が行われ、遺伝的な疾患を持つ犬猫が生まれています。健康状態を無視した交配は、母犬猫の負担を増やし、子犬猫にも悪影響を及ぼします。

幼齢での出荷と「不良在庫」

少しでも早く利益を得るため、幼い子犬猫が出荷されます。免疫力が弱い状態で親から引き離されるため、病気にかかりやすく、死亡リスクも高まります。売れ残った子犬猫は「不良在庫」として扱われ、闇商売に流されることもあります。

専門家の声

動物福祉に詳しい獣医師、山田一郎氏(仮名)は、「ペットビジネスの現状は、動物福祉の観点から見て深刻な問題です。命ある動物を商品として扱うのではなく、一つ一つの命を尊重する必要があります」と警鐘を鳴らしています。

ペットを飼う責任

ペットを飼うということは、その命に責任を持つということです。安易な気持ちでペットを飼うのではなく、その背景にある問題を理解し、命を尊重する姿勢が求められています。

まとめ

ペットショップで売られている子犬や子猫。その可愛らしさの裏には、年間2万5千匹もの犠牲と、動物をモノとして扱う残酷な現実が存在します。ペットを飼う際には、その背景にある問題を理解し、命に責任を持つことが重要です。ぜひ、この問題について深く考え、行動を起こしてみてください。