7月20日に投開票が行われる参議院議員選挙に向け、各候補の選挙活動が活発化しています。そんななか、自民党から比例代表で出馬した鈴木宗男候補の驚異的な「移動距離」が注目を集めています。
過去の経緯と今回の出馬
政治ジャーナリストによると、鈴木氏は2002年に一連の汚職事件を受けて自民党を離党しました。2005年には地元の北海道で地域政党の『新党大地』を立ち上げ、政治活動を継続。2019年の参院選では日本維新の会の比例代表候補として当選を果たしました。しかし、党に届け出を行わずにロシアを訪問したことが問題となり同党を離党。今年6月20日には23年ぶりに自民党への復党が明らかになり、議員辞職を経て今回の参院選に比例代表候補として出馬しています。
参院選比例代表候補として全国を回る自民党の鈴木宗男氏
驚異の移動距離とその反応
北海道出身の政治家として知られる鈴木氏ですが、比例代表は全国区のため、全国各地を精力的に飛び回っています。鈴木氏のX(旧Twitter)アカウントでは日々の移動距離が報告されており、選挙戦開始から7日目の7月9日までに移動した距離は9669キロメートル、約1万キロメートルに達しています。このタフな選挙活動に対し、X上では驚きの声が多数見られます。「化け物みたいな移動距離」「北から南まで行くとかどんだけタフなんだ」「影武者でもいるんじゃないか」といった投稿が見られます。
“殺人的”とも言われる具体的な日程
前出の政治ジャーナリストは、鈴木氏の極端な移動ぶりを具体的に説明します。選挙戦初日となる7月3日には、北海道の札幌市で各地自民党候補の出陣式に出席した後、地元に戻り、日本最東端の根室市にある納沙布岬を訪問。釧路市での“第一声”を経て、東京を経由して沖縄県の那覇市に入りました。翌4日には飛行機で日本の最西端である与那国島、有人島として日本最南端に位置する波照間島、さらに石垣島、宮古島を経由して那覇に戻り、その日のうちに東京へ帰京するという慌ただしいスケジュールをこなしています。さらに選挙戦8日目の7月10日には、北海道南部の函館市から始まり、千歳市、苫小牧市などを経由して飛行機で北部の稚内市へ移動。その後、宗谷地方を回り選挙活動を展開しました。
伝統的な“ドブ板選挙”の実践
鈴木氏が実践する選挙手法は、“ドブ板”と呼ばれると前出の政治ジャーナリストは指摘します。“ドブ板選挙”とは、かつて民家の前にある溝(ドブ)を渡って有権者に直接アピールする「しらみつぶし」の選挙活動を例えた言葉です。現在の公職選挙法では戸別訪問は禁止されていますが、街頭での演説などを通じて一人一人に訴えかける選挙手法などがこれに当たります。多くの候補者が人口の多い都市部を中心に選挙戦を行う傾向がある中で、鈴木氏は離島や地方など全国各地を細かく回っており、まさに“ドブ板”選挙の現代版とも言えるような活動を行っています。
77歳の不屈のスタミナ
鈴木氏は1948年1月生まれの77歳です。この高齢で連日、全国各地を飛び回り、“ドブ板”スタイルの選挙活動をこなすそのスタミナには、驚きを隠せません。比例代表候補として全国を回る必要性を踏まえても、その体力と意欲は並外れていると言えるでしょう。