伊東市長 学歴詐称問題 百条委初会合で証人尋問 「卒業証書」提出要求、専門家指摘の議会「先手」とは

静岡県伊東市の田久保眞紀市長を巡る学歴詐称疑惑について、地方自治法第百条に基づく調査特別委員会(百条委員会)の初会合が7月11日に開かれました。当初の予定より前倒しでの開催となったこの委員会では、市の職員への証人尋問が行われ、市長の学歴記載に関する経緯が問われました。伊東市の政治・社会における注目が集まるこの問題の最新動向を追います。

市役所への登庁と市長の反応

11日朝、学歴詐称問題の渦中にある田久保市長は、市役所に赤い車で登庁しました。百条委員会当日の心境を記者団に問われた市長は、「議会の報告を待ちたいと思います」と述べるにとどまりました。

伊東市長 田久保眞紀氏が赤い車で市役所に登庁する様子 (学歴詐称問題の百条委員会開催日)伊東市長 田久保眞紀氏が赤い車で市役所に登庁する様子 (学歴詐称問題の百条委員会開催日)

百条委員会初会合:秘書広報課長への証人尋問

伊東市議会で行われた百条委員会の初会合では、市の広報誌に市長の学歴が「東洋大学卒業」と記載された経緯などが焦点となりました。市の秘書広報課長が証人として尋問を受け、当時の状況について証言しました。

課長は、市議会議員時代の資料などを基に履歴を作成したと説明。広報誌に「大学卒業」と記載した点については、「私の記憶の中には卒業とは書いていなかったと思う」としながらも、市長から卒業証書を提示され、それを基に記載の判断を行ったと証言しました。

その際、課長が卒業証書のコピーを求めたところ、市長から「そこまでは要らないんじゃないか」と言われ、これまでの市長にはそのような対応を求めたことがなかったため、課長が直接拝見する形での確認となったことも明かされました。この証言は、市長の学歴記載プロセスにおける具体的なやり取りを明らかにするものとして注目されます。

市長、別の公務中に硬い表情

百条委員会が開催されていた同日、委員会に出席する予定がなかった田久保市長は、イタリアからの交換留学生の表敬訪問を受けていました。留学生からは伊東市の印象について「小さい街ですが、人々がとても優しいです」という言葉がありました。

表敬訪問の場では、写真撮影の際にカメラマンから「最後、笑顔でお願いします」と求められましたが、市長は終始硬い表情だったとのことです。学歴問題を巡る緊迫した状況が、公務中の表情にも影響を与えている様子がうかがえます。

委員会、市長に「卒業証書」の提出を要求

百条委員会の初会合終了後、市議会の中島弘道議長らが田久保市長に書面を手渡しました。書面では、これまでに市長が示してきた「卒業証書」について、7月18日午後4時までに委員会に提出するよう求められました。

なお、市議会によれば、当初手渡された書面には一部不備があり、その後差し替えられたとのことです。これに対し、田久保市長は「百条委員会で出されたものについても、しっかりと受け止めまして、検討していきたい」と述べています。中島議長は、卒業証書が偽物である可能性も視野に入れ、必要であれば市長本人の委員会出席を求める考えを示唆しました。

専門家が指摘する議会の「先手」

田久保市長が学歴問題に関連する証拠書類を検察に提出する意向を示したことを受け、百条委員会は当初予定より前倒しで11日に初会合を開きました。この議会側の動きについて、法政大学大学院の白鳥浩教授は専門家として次のように分析しています。

白鳥教授は、証拠書類が検察に提出されてしまうと、議会側がそれらを確認する手続きが非常に困難になる可能性があると指摘。今回の百条委員会の前倒し開催は、議会が検察の動きに「先手」を打つための戦略である可能性が高いとの見方を示しました。

今後の百条委員会の開催日程については、中島議長は市長からの卒業証書提出を受けてから決定するとしており、提出される書類の内容が今後の焦点となります。

(「イット!」 2024年7月11日放送より)


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