米国大統領選挙の開票速報を受け、東京外国為替市場は6日、荒い値動きとなりました。共和党候補、トランプ前大統領の優勢が伝えられると、円売りドル買いの流れが加速。一時1ドル＝154円台前半と、7月下旬以来の水準まで急落し、1日の値幅は3円を超えました。今後の経済への影響を読み解きながら、この波乱の展開を詳しく見ていきましょう。
トランプ氏の「勝利宣言」で円安が加速
午後4時半ごろ、トランプ氏が事実上の勝利宣言を行うと、円相場は円安方向へと動き始めました。朝方は151円台前半まで円高に振れる場面もありましたが、開票作業の開始とともに「トランプ・トレード」と呼ばれる、トランプ氏の勝利を見込んだ取引が活発化し、円安へと傾いていきました。午後5時時点では1ドル＝154円近辺で推移しています。
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株価は上昇、ドル高も進行
この円安は日本株には追い風となり、日経平均株価は前日終値比1005円77銭高の3万9480円67銭で取引を終えました。ドルは円以外の主要通貨に対しても強さを増しています。トランプ氏が公約に掲げる法人税減税や、前政権時代に導入した所得税減税の恒久化が実現すれば、民主党候補のハリス副大統領が勝利する場合に比べ、米国の財政赤字はより大きく拡大すると予想されているためです。
財政悪化懸念と金利上昇
財政悪化への懸念を背景に、債券市場では米国債が売られ、米国金利は上昇。為替市場では、円などの低金利通貨に対してドルが買われやすくなっています。しかし、こうしたトランプ・トレードを主導しているのは、短期売買を繰り返して利幅を稼ぐ投機筋です。
長期的な見通しはドル安円高？
多くの投資家は、足元の動きとは逆に、中長期的にドル安円高の方向で構えているようです。彼らが注目しているのは、トランプ氏が実際に大統領に就任する年明け以降の世界です。経済アナリストの山田一郎氏（仮名）は、「過去のトランプ政権時にも見られたように、保護主義的な政策によって貿易摩擦が激化し、結果的にドル安を招く可能性がある」と指摘しています。
FRBへの利下げ圧力も
エコノミストの豊島逸夫氏は「商売人のトランプ氏は米国製品の国際競争力を高めるため、ドルは安い方がいいと考えている」と指摘。来年1～3月には、米連邦準備制度理事会（FRB）に対して大幅な利下げ圧力をかけてくるとの見方を示しています。日本が警戒する過度な円安は修正される可能性が出てきそうです。
大統領選後の経済、見通しは不透明
大統領選挙の結果は、世界経済に大きな影響を与えることは間違いありません。短期的な市場の反応だけでなく、長期的な経済動向にも注意を払う必要があるでしょう。今後の動向を注視していくことが重要です。
