アメリカ大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領を破り、再選を果たしました。事前の予想を上回る圧勝劇の背景には何があったのでしょうか?そして、2期目のトランプ政権はどのような政策を打ち出すのでしょうか?現代アメリカ論の専門家である慶應義塾大学の渡辺靖教授と、米政治外交史に精通する同志社大学大学院の三牧聖子准教授に、外信部長の大前仁が話を聞きました。
予想を覆す圧勝劇、その要因とは?
今回の大統領選は、アメリカ国民にとってどのような選択だったのでしょうか?渡辺教授は、ハリス氏が掲げた多様性や民主主義といった理念に対し、トランプ氏はインフレや移民問題といった現実的な課題への対応を訴えた点を指摘。有権者は、理想よりも目の前の問題解決を優先したと分析しています。
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三牧准教授は、両候補ともにバイデン政権からの変化を訴えたものの、トランプ氏のインフレ対策や不法移民への強硬な姿勢が有権者に響いたと分析。一方、ハリス氏は新世代のリーダーとしての刷新感を打ち出しながらも、バイデン政権との政策的な違いを明確に示すことができず、有権者の支持を得られなかったと指摘しています。
分断深まるアメリカ社会、中道派はどこへ?
今回の選挙で、保守派とリベラル派の分断はさらに深まったのでしょうか?三牧准教授は、ガザ地区紛争を巡る民主党内の左派と中道派の対立、そして激戦州におけるアラブ系とユダヤ系住民の票の行方について言及。ハリス氏はイスラエル支援策において劇的な転換を打ち出せず、中間層を取り込むための政策も「どっちつかず」と捉えられ、支持を広げることができなかったと分析しています。
渡辺教授は、共和党内にも穏健派とトランプ氏を支持しない勢力が存在したことを指摘し、両党ともに一枚岩ではなかったと述べています。しかし、連邦議会襲撃事件に対する共和党支持者の反応や、トランプ氏の起訴が予備選での支持拡大につながったことなどから、現状認識の乖離が深刻化していることを懸念しています。
熱狂を生み出せなかったハリス氏、その理由とは?
ハリス陣営は選挙戦終盤に著名人を動員しましたが、渡辺教授はこれが逆効果になった可能性を指摘。トランプ氏支持者からは、エリート層の集まりと見なされ、ハリス氏自身の求心力の弱さを露呈したと分析しています。
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2期目のトランプ政権、その行方は?
トランプ氏の圧勝により、2期目のトランプ政権はどのような政策を推進していくのでしょうか?そして、分断が深まるアメリカ社会の未来はどうなるのでしょうか?今後の動向に注目が集まります。