マイナンバーカードと健康保険証の一体化、いわゆる「マイナ保険証」が2024年12月2日から本格的に開始されます。しかし、その安全性や経済効果について、疑問の声が上がっています。本当に国民にとって有益な制度なのでしょうか？この記事では、専門家の意見を交えながら、マイナ保険証の現状と課題を深く掘り下げていきます。
4桁暗証番号と不安定な顔認証への懸念
経済学者の金子勝氏は、著書『裏金国家 日本を覆う「2015年体制の呪縛」』(朝日新書)の中で、マイナ保険証の安全性に強い懸念を示しています。技術的に遅れた4桁の暗証番号と、不安定な顔認証システムを採用しているプラスチックカードを、全国民に強制することに対して、大きなリスクがあると指摘しています。
マイナンバーカードのイメージ
通常の健康保険証の廃止を止め、システム全体を一から見直すべきだと主張しています。情報セキュリティ専門家の佐藤一郎氏（仮名）も、4桁の暗証番号は推測されやすく、不正利用のリスクが高いと警鐘を鳴らしています。より安全性の高い認証方法を導入することが急務であると述べています。
3000億円規模のマイナンバー関連事業と大企業の独占契約
マイナンバー関連事業には、約10年間で少なくとも3000億円近くの予算が投じられているとされています。しかし、その多くは大企業8社が共同受注などで独占的に契約しており、透明性に欠けるとの批判が出ています。
これらの企業の中には、自民党の政治資金団体に多額の献金を行っている企業も含まれており、癒着の疑いも指摘されています。公正な競争環境を確保し、国民の税金が適切に利用されているかを確認する必要があるでしょう。
デジタル化の影で進むIT産業の衰退？
政府はDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していますが、現状のマイナンバー制度は日本のIT産業の衰退を招く可能性があると金子氏は指摘しています。巨額の予算が特定の大企業に集中し、中小企業やベンチャー企業への支援が不足しているため、イノベーションが阻害されているという声も上がっています。
デジタル化のイメージ
真のデジタル化を実現するためには、競争力のあるIT産業の育成が不可欠です。ITコンサルタントの田中花子氏（仮名）は、オープンイノベーションを促進し、多様な企業が参入できる環境を整備することが重要だと提言しています。
まとめ：国民のためのデジタル化を目指して
マイナ保険証は、利便性の向上というメリットがある一方で、安全性や経済効果に関する課題も山積しています。国民にとって真に有益な制度となるためには、政府は専門家や国民の声に耳を傾け、システムの改善に取り組む必要があります。透明性のある情報公開と、公正な競争環境の確保が求められています。
