アメリカ大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏は、気候変動問題への消極的な姿勢で知られており、パリ協定からの再離脱を示唆しています。COP29が目前に迫る中、この動向は世界の温暖化対策に大きな影を落とす可能性があります。果たして、国際協調の行方はどうなるのでしょうか?
トランプ氏の温暖化に対する姿勢:科学的根拠に基づかない主張
トランプ氏は選挙期間中、温暖化の影響を過小評価する発言を繰り返しました。「今後400年で海面はわずか3ミリしか上昇しない」という主張は、科学的な根拠に基づかないものです。専門家らは、温暖化対策が強化されなければ、海面上昇による深刻な被害が出ると警鐘を鳴らしています。例えば、トランプ氏自身も所有するフロリダ州の邸宅近辺では、2100年までに海面が76センチ上昇すると予測されています。
トランプ次期米大統領=6日、米フロリダ州(AFP時事)
パリ協定再離脱の可能性:世界の温暖化対策への打撃
世界第2位の温室効果ガス排出国であるアメリカが、再びパリ協定から離脱すれば、世界の温暖化対策への打撃は計り知れません。地球科学の専門家であるマーク・マスリン教授(英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン)は、「超大国の離脱は、他国にも脱炭素化の遅延を許容する」と警鐘を鳴らしています。国際的な合意形成も困難になることが予想されます。
COP29の焦点:発展途上国への資金支援とアメリカの不在
11月にアゼルバイジャンで開催されるCOP29では、発展途上国の気候変動対策を支援する新たな資金目標の合意が焦点となります。アメリカの不在は、日本を含む他の先進国への資金拠出圧力を強める可能性があります。国際社会は、トランプ政権の動向を注視しながら、温暖化対策の推進に向けて難しい舵取りを迫られています。
国際協調の行方:さらなる課題
トランプ氏の再選は、気候変動問題への国際協調に大きな不確実性をもたらします。アメリカがパリ協定に復帰しない場合、世界の脱炭素化の進展は遅れ、地球温暖化の深刻な影響を回避することが難しくなるでしょう。COP29をはじめとする国際的な舞台で、各国はどのように協力し、気候変動という地球規模の課題に立ち向かっていくのか、今後の動向に注目が集まります。