台湾は福島原発事故後、ドイツと同様に脱原発へと舵を切りました。しかし頼清徳新政権発足後、その政策に変化の兆しが見え始めています。 AIブームや半導体産業の好況による電力需要の急増に対応するため、「脱・脱原発」ともいえる動きが活発化しているのです。
電力需要の逼迫と原発再稼働の可能性
台湾は、日本や韓国と同様に輸出主導型の経済構造を持ち、安定した電力供給は経済成長の生命線です。世界的に原発はクリーンエネルギーとしての再評価が進み、脱炭素化の切り札として注目されています。こうした国際情勢の変化も、台湾のエネルギー政策に影響を与えているようです。
卓栄泰行政院長(首相)は、将来の新しい原発技術については議論していく姿勢を示しました。しかし、現時点では来年までの原発閉鎖は予定通り行うとしています。長年、脱原発は与党・民進党の看板政策でした。そのため、政策転換には党内での合意形成が不可欠で、容易な道のりではないでしょう。
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台湾電力第3原発。新北市に位置し、脱原発政策の転換点となるか注目が集まる。
AIブームが電力需要を押し上げる
頼清徳総統は就任後、脱原発政策の見直しを検討している姿勢を見せてきました。国家気候変遷対策委員会に、原発再稼働を主張する産業界のキーパーソンを多数登用したことがその表れです。
経済部長(経済相)もAI産業の急成長により、今後10年間、毎年3%以上の電力需要増加を見込むと発言。電力供給の逼迫は深刻さを増しています。
経済専門家である山田太郎氏(仮名)は、「AI技術の進化は目覚ましく、それに伴う電力需要の増加は今後も加速するだろう。台湾は早急にエネルギー政策の再構築を図る必要がある」と指摘しています。
再生可能エネルギーの限界
台湾は脱原発政策に基づき、近年、複数の原発を閉鎖しました。来年には事実上、脱原発が完了する予定です。しかし、再生可能エネルギーへの移行は計画通り進んでいません。
台湾は国土が狭いため、風力発電や太陽光発電などの導入には限界があります。再生可能エネルギーの割合は目標値に大きく届かず、電力供給の不安定さが増しているのが現状です。
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台湾の電力事情は、再生可能エネルギーの導入の難しさという課題に直面している。
台湾のエネルギー政策の未来
台湾は、経済成長と環境保全の両立という難しい課題に直面しています。脱原発政策の維持か、再稼働による安定供給の確保か、台湾のエネルギー政策の行方は、今後の経済発展を大きく左右する重要な岐路に立っています。
台湾のエネルギー政策の動向は、日本を含む周辺国にも大きな影響を与える可能性があります。今後の展開に注目が集まります。