ガザ人道危機:米国、イスラエルへの軍事支援継続を表明、ハマスは強く反発

ガザ地区における緊迫した人道状況を受け、米国はイスラエルへの軍事支援を継続する方針を明らかにしました。イスラエルによる人道支援への取り組みを評価した形ですが、ハマスや国際援助団体からは批判の声も上がっており、今後の展開が注目されます。

米国、イスラエルの対応を「一定の進展」と評価

米国務省は12日、イスラエルがガザ地区の人道状況改善に向け「相応の措置」を講じたと表明。ブリンケン国務長官とオースティン国防長官が10月13日付の書簡で示唆した、30日以内に改善が見られなければ武器供与を見直す可能性については言及せず、支援継続の意向を明確にしました。

国務省のパテル副報道官は、イスラエルがガザ境界の検問所を新たに開放するなど「一定の進展」が見られると指摘。紛争地域への武器供与を規制する国内法にも抵触しないと判断しました。

ガザ北部で避難する市民ガザ北部で避難する市民

国際社会からは疑問の声、ハマスは「集団虐殺の共犯」と非難

しかし、この米国の判断には国際社会から疑問の声が上がっています。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の関係者は、ガザへの支援物資の量が「過去数カ月で最低レベル」だと指摘。国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」などの援助団体も、30日間で人道支援拠点や人員へのイスラエル軍の攻撃が繰り返されたと訴えています。

ハマスは、米国の決定を「イスラエルによる集団虐殺に加担するもの」と強く非難する声明を発表。緊張の高まりが懸念されます。

ブリンケン国務長官、「実質的な戦闘停止」の必要性を強調

一方、ブリンケン国務長官は13日、ガザへの支援を円滑に進めるには「実質的で長期的な戦闘停止が必要」と強調。トーマスグリーンフィールド米国連大使も12日、国連安保理で「イスラエルによる住民の強制退去や飢餓は許されない」と釘を刺しました。

今後のガザ地区の情勢安定化には、イスラエルとハマスの対立解消、そして国際社会による人道支援の拡充が不可欠です。米国によるイスラエルへの軍事支援継続は、この複雑な状況をさらに難しくする可能性も秘めています。

ガザ地区の未来は?

米国はイスラエルの「進展」を評価しましたが、現場の状況は依然として深刻です。人道支援は難航し、住民の苦境は続いています。一刻も早い停戦と、持続可能な和平への道筋を探ることが求められています。