ビットコイン、過去最高値12万ドル台突破 米規制法案審議で高騰

2025年7月14日の取引で、暗号資産ビットコインが初めて12万ドル台に上昇し、過去最高値を更新しました。アジア時間で高値を付けたビットコインは、夕方の取引で過去最高値となる12万3153.22ドルに達しました。その後はやや値を戻し、直近では2.4%高の12万2000ドル近辺で推移しています。今年の年初来ではすでに29%の上昇となっています。この高騰の背景には、米国下院がデジタル資産業界向けの規制枠組みに関する一連の法案審議を開始するとの期待感など、複数の要因が指摘されています。

米規制法案審議の期待で過去最高値を更新した暗号資産ビットコインのイメージ米規制法案審議の期待で過去最高値を更新した暗号資産ビットコインのイメージ

米国下院での「クリプト週間」と規制法案

米国下院は7月14日に始まる週を「クリプト週間」と指定し、デジタル資産業界が長年求めてきた規制の枠組みを決定する一連の法案の審議を開始する予定です。特に、ステーブルコインの連邦規制を定める「GENIUS法案」のほか、「CLARITY法案」、「反CBDC監視国家法案」といった業界に有利とみられる法案の採決が行われる見通しで、市場では関連法案の成立への期待が高まっています。

トランプ大統領の支持と市場の要因

政治的な側面では、トランプ米大統領が自らを「クリプト(暗号資産)大統領」と位置づけ、暗号資産業界に有利なルールの導入を積極的に求めていることも、市場の楽観論を後押ししています。

IGのマーケットアナリスト、トニー・シカモア氏は、今回のビットコイン高騰の背景として、機関投資家からの強い需要、さらなる価格上昇への期待、そしてトランプ氏の支持を挙げています。同氏は、ビットコインの動きが「過去6、7日間、非常に、非常に強い」として、「現時点でどこで止まるか見通し難い。12万5000ドルも容易に窺うことができそうだ」と述べ、さらなる上昇の可能性を示唆しています。

その他の主要仮想通貨の動向と市場規模

ビットコインだけでなく、他の主要な暗号資産も同様に堅調な動きを見せています。イーサリアムのイーサも5カ月超ぶりの高値となる3059.60ドルを記録しました。また、XRPとソラナもそれぞれ約3%の上昇となりました。コインマーケットキャップのデータによると、暗号資産市場全体の時価総額は約3兆8100億ドルにまで拡大しています。

世界的な関心と構造的変化の兆候

市場関係者は、今回の動きが単なる投機的なブームではない、より構造的な変化の兆候である可能性に注目しています。香港の暗号資産上場投資信託(ETF)価格も同様に上昇しており、アジア市場での関心の高さを示しています。

OKXシンガポール部門の最高経営責任者(CEO)、グレイシー・リン氏は、「われわれが興味深く注視しているのは、ビットコインが個人投資家や機関投資家だけでなく、一部の中央銀行からも長期準備資産として見られるようになっている兆候だ」と指摘しています。さらに、「ファミリーオフィスや資産運用会社など、アジアを拠点とする投資家の参加も増えている」とし、これらは「ビットコインが世界の金融システムで果たす役割を示す強力なサインであり、ビットコインに対する認識の構造的変化を示している。単なる一時的なブームによる上昇ではないとみられる」との見解を示しました。

今回のビットコインの過去最高値更新は、米国での規制整備への期待、政治的な支持、機関投資家やアジアからの新たな資金流入、そして一部中央銀行による準備資産としての検討など、複合的な要因に支えられています。これらの要因は、ビットコインが単なる投機対象から世界の金融システムにおけるより恒久的な役割へと移行している可能性を示唆しており、構造的な変化の兆候として注目されています。

参照

ロイター (Reuters)