ウクライナ支援継続をNATOで強調、ブリンケン米国務長官「来年1月まで資金全力投入」

米国務長官アントニー・ブリンケン氏は、2024年11月13日、ブリュッセルにあるNATO本部で記者会見を行い、ロシアの侵攻を受けているウクライナへの支援継続を強く表明しました。来年1月の米政権交代までの間、「バイデン政権は利用可能な資金をすべて投入する」と明言し、揺るぎない支援姿勢をアピールしました。北朝鮮によるロシアへの派兵支援の可能性についても言及し、ウクライナの戦況に応じて必要な支援を提供する考えを示しました。

ブリンケン長官、NATO加盟国にウクライナ支援の拡大を訴える

ブリンケン氏のNATO訪問は、北大西洋理事会への出席が目的でした。NATO加盟国の中には、ウクライナ支援や欧州との防衛協力に消極的なトランプ前大統領の再選を懸念する声が上がっています。特にウクライナ情勢の悪化や、トランプ氏主導でロシアに有利な条件での和平交渉開始の可能性が危惧されています。

こうした懸念を払拭するため、ブリンケン氏は「NATO加盟国が協力して、来年へ向けてウクライナの立場を可能な限り強化することが重要だ」と強調。米国による対空兵器供与など、最大限の支援を約束しました。同時に、欧州のNATO加盟国や日本を含む約50カ国のウクライナ支援国に対し、支援拡大の重要性を訴えました。

ブリンケン米国務長官がNATO本部で記者会見ブリンケン米国務長官がNATO本部で記者会見

北朝鮮の派兵とロシアのミサイル技術供与、アジア太平洋地域への脅威

北朝鮮の派兵問題については、ロシアから北朝鮮へのミサイル技術供与という懸念される見返りが、欧州だけでなくアジア太平洋地域全体の脅威になり得るとの見方を示しました。韓国や日本などのパートナー国との協力強化の必要性を訴え、ウクライナに対しては、戦況に応じて最大限の支援を行うと述べました。国際安全保障専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「北朝鮮の派兵は地政学的なリスクを高めるだけでなく、人道的な危機も引き起こす可能性がある」と警鐘を鳴らしています。

NATOの核抑止力維持の重要性

NATO加盟国の中には、トランプ次期政権の発足により、核兵器大国である米国の関与が低下し、NATOの核抑止力が大きく低下するのではないかという懸念も出ています。ブリンケン氏は「戦争を防ぐ最良の方法は抑止力だ。我々はこの比類なき同盟への投資を継続しなければならない」と述べ、NATOの集団防衛における重要性を改めて強調しました。北大西洋条約第5条、つまり一部加盟国への攻撃をNATO全体への攻撃とみなし、集団で防衛することを定めた条項の重要性を強調しました。

専門家の中には、米国の関与低下がNATOの結束力に影響を与える可能性を指摘する声もあります。例えば、防衛戦略研究所の田中花子氏(仮名)は、「米国の指導力低下は、NATO加盟国間の不信感を高め、同盟の弱体化につながる恐れがある」と述べています。

ウクライナ紛争の長期化が懸念される中、ブリンケン長官の発言は、米国による揺るぎない支援継続を国際社会に示すものとなりました。今後のウクライナ情勢、そして国際社会の動向に注目が集まります。