2024年11月2日、愛媛県松山市は季節外れの記録的な豪雨に見舞われ、市内各地で冠水被害が発生しました。突然の豪雨に襲われた市民生活、そして7月の土砂災害の記憶が蘇る中、住民の不安と行政の対応に迫ります。
松山市中心部で内水氾濫、JR松山駅も水浸しに
11月2日午前、愛媛県内は台風21号から変わった低気圧と前線の影響で豪雨に見舞われました。松山市付近では1時間に約100mm、今治市付近では約120mmの猛烈な雨が降り、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を発表しました。排水能力を超えた雨量は、下水道や用水路から溢れ出し、「内水氾濫」を引き起こしました。
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松山市中心部では、松山城の堀から水が溢れ出し国道に流れ込むなど、冠水被害が広がりました。開業したばかりのJR松山駅もコンコースが水浸しになり、駅員が排水作業に追われる事態となりました。市内各地でマンホールから水が噴き出す様子も確認され、その高さは5メートルに達する場所もあったといいます。
古三津地区では、マンホールから勢いよく噴き出す水の様子が住民によって撮影されました。専門家によると、このような現象は下水道の排水能力が限界を超えた際に発生し、都市型水害の深刻さを示す指標の一つとのことです。「都市計画研究所」の田中一郎氏(仮名)は、「ゲリラ豪雨への対策強化が急務である」と警鐘を鳴らしています。
緊急安全確保発令、住民の避難と不安の声
松山市は、市内を流れる大川と久万川で洪水のおそれがあるとして、10地区、10万世帯以上に対して警戒レベル5の「緊急安全確保」を発令しました。市民は命を守る行動をとるよう呼びかけられ、一時53カ所の避難所が開設されました。
西長戸町では、道路が冠水し、車や歩行者の通行に大きな影響が出ました。車のナンバープレートが水没するほどの水位に達し、住民は不安を募らせました。
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お好み焼き店「くじら」では、泥水が店内に流れ込み、厨房機器が壊れるなどの被害が出ました。岡田健輔店員は、「腰の高さまで水が来たので避難した。戻ってきたら店内は水浸しだった」と当時の状況を語りました。
7月の土砂災害の記憶、そして新たな対策の効果
7月に土砂崩れが発生した緑町では、住民の不安が高まりました。矢田共行さん(80)は、「滝のような雨で、また土砂崩れが起きるのではと不安だった」と話しました。しかし、新たに設置された雨水管が効果を発揮し、道路の冠水は免れました。矢田さんは、「土砂災害後の大雨は初めてだったので心配だったが、対策が功を奏して安心した」と安堵の表情を見せました。
小学校付近で道路崩落、住民に恐怖広がる
宮内地区の小学校付近では、川沿いの道路が崩落する被害が発生しました。近くの住民によると、豪雨の中、大きな音がして道路が崩れたとのことです。「まさか護岸が崩れるとは思っていなかった。恐怖を感じた」と住民は語りました。
今後の防災対策と備えの重要性
今回の豪雨は、都市部における水害リスクの高まりを改めて示しました。専門家は、今後さらに頻発化・激甚化する気候変動への対策強化の必要性を訴えています。市民一人ひとりが防災意識を高め、日頃から備えを万全にすることが重要です。