トランプ次期大統領、バイデン氏と会談も司法長官人事で見せる強権姿勢

トランプ次期大統領は13日、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談し、円滑な政権移行を約束しました。しかし、その直後に発表された司法長官人事は、今後の政権運営における強権的な姿勢を強く示唆するものとなっています。

円滑な政権移行を約束?その裏に隠された思惑

バイデン大統領との会談では、4秒間の握手に「お帰りなさい」と声をかけられるなど、一見和やかなムードが演出されました。トランプ氏も会談後、バイデン氏の潔さを称える発言をしています。

バイデン氏とトランプ氏の会談の様子バイデン氏とトランプ氏の会談の様子

しかし、この円満な雰囲気は長くは続きませんでした。

物議を醸す司法長官人事:マット・ゲーツ氏の起用

会談直後、トランプ氏は保守強硬派のマット・ゲーツ下院議員を司法長官に起用すると発表。ゲーツ氏はトランプ氏への忠誠心が厚く、バイデン政権下での司法省を「魔女狩り」と批判してきた人物です。トランプ氏はゲーツ氏の起用について、「省の組織的腐敗を一掃する」と声明を発表しています。

マット・ゲーツ氏マット・ゲーツ氏

ゲーツ氏は昨年、共和党のマッカーシー前下院議長の解任を主導した、攻撃的な政治家としても知られています。司法長官の強大な権限を用いて、政敵への報復人事を行う可能性も懸念されています。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は社説で、この人事を「政治的復讐のための法の利用」と厳しく批判しています。

共和党、上下両院で過半数獲得:今後の政局に大きな影響

13日には、共和党が下院でも過半数を獲得することが確実となりました。下院は政府高官や裁判官に対する弾劾訴追の権限を持ちます。2021年の議会占拠事件で弾劾訴追されたトランプ氏は、民主党への強い resentment を抱いており、下院の多数派を背景に、政敵への報復に乗り出す可能性が懸念されます。

下院の調査権行使で政敵をけん制?

共和党は下院の調査権を行使し、トランプ氏に批判的な人物への圧力を強める可能性があります。今後の政局は、トランプ氏の強権的な姿勢と共和党の多数派支配によって、大きく揺れ動くことが予想されます。

政治アナリストの山田一郎氏は、「ゲーツ氏の司法長官起用は、トランプ氏の政敵に対する明確なメッセージだ。今後、司法省を利用した政治的報復が行われる可能性は高く、アメリカ政治の分断はさらに深まるだろう」と警鐘を鳴らしています。