日本の裁判所、そして裁判官と聞くと、公正中立で、誠実で優秀な人々を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、現実は理想とはかけ離れているかもしれません。元判事であり法学の権威である瀬木比呂志氏の著書『絶望の裁判所』では、日本の裁判所の驚くべき実態が描かれています。この記事では、その中でも特に不可解な「出来レース選挙」と「天の声」について解説します。
裁判所内の選挙の実態
裁判所のイメージ
裁判所内では、所長代行や常置委員を選ぶ選挙が行われます。しかし、この選挙は、実際には「出来レース」であると瀬木氏は指摘します。所長代行については「上」からの指定があり、常置委員については各期のメンバー間で事前に調整が行われます。
「天の声」と揶揄される人事指定
会議の様子
判事補たちは、この「上」からの指定を「天の声」と揶揄していました。まるで、あらかじめ決められた筋書き通りに事が運ぶかのような人事システムに、疑問を抱く判事補も少なくなかったようです。法曹界における人事の不透明さは、司法の独立性という観点からも問題視されるべきでしょう。
出来レース選挙の謎
常置委員の主な仕事は、定期的に行われる研究会のテーマ設定や準備です。このような役割の選出に、なぜ「出来レース選挙」を行う必要があるのでしょうか。瀬木氏は、このシステムの無意味さを疑問視しています。
疑問の声と司法の在り方
一部の裁判官からは、このような慣習に疑問の声が上がっているものの、長年にわたりこのシステムは変わることなく続いてきました。司法の公正さを担保するためにも、人事システムの透明化は喫緊の課題と言えるでしょう。 瀬木氏の著書は、私たちに司法の在り方について深く考えさせるきっかけを与えてくれます。
この記事では、日本の裁判所における「出来レース選挙」と「天の声」という不可解な慣習について解説しました。司法への信頼を揺るがす可能性のあるこれらの問題について、より多くの人々が関心を持ち、議論を深めることが重要です。