参政党さや氏「大阪芸大ピアノ科ゼロ」発言に波紋:参院選候補者の情報精度を問う

参院選東京選挙区に立候補中の参政党・さや氏(43)が、街頭演説で述べた「大阪芸術大学のピアノ科の募集人数がゼロだった」との発言が、その情報の正確性を巡りSNS上で物議を醸しています。有権者に対する候補者の情報発信のあり方が改めて問われる形となりました。

参院選街頭演説での発言内容

さや氏は7月2日、参院選公示日前日に新宿・歌舞伎町で行われた街頭演説にて、元ジャズシンガーとしての経験を踏まえ、日本の音楽文化や芸術の未来への懸念を涙ながらに訴えました。新型コロナ禍で多くのライブハウスが閉鎖された現状に触れ、「音楽は人々の心を救うもの」と強調。その中で、「大阪芸術大学のピアノ科の募集をしたら、来たのはゼロだったんです。誰も来なかったんですって。大阪芸大ですよ。バイオリン、弦楽器の人もゼロ」と発言しました。この発言は、文化の衰退を象徴する具体的な例として提示されたものです。

参政党のさや氏が参院選の街頭演説で発言する様子。大阪芸術大学のピアノ科に関する情報が物議を醸した。参政党のさや氏が参院選の街頭演説で発言する様子。大阪芸術大学のピアノ科に関する情報が物議を醸した。

SNSで指摘された発言の矛盾点

さや氏の発言に対し、X(旧Twitter)上では「大阪芸大にピアノ科はない」「演奏学科のことを言っているとしても、ピアノとバイオリンの受験生ゼロというのはいつのことか」「関西圏の音楽大学は、京都芸大や大阪音大、相愛が中心であり、大阪芸大を国公立と勘違いしているのではないか」といった指摘が相次ぎました。特に「ピアノ科」という名称の有無について、疑問の声が多く上がったのです。

大阪芸術大学公式データとの照合

本誌が大阪芸術大学の公式ウェブサイトで確認したところ、音楽関連の学科として「音楽学科」「演奏学科 クラシック」「演奏学科 ポピュラー音楽コース」が紹介されており、「ピアノ科」という独立した学科は存在しませんでした。しかし、「演奏学科 クラシック」の中には「ピアノコース」が確かに設置されています。

令和7年度の入試データを見ると、「ピアノコース」の総合型選抜入学試験(1期、2期)の出願者数は「0」と記載されています。一方で、一般選抜入学試験(2期)専門試験方式では「1」の出願数があり、完全に「ゼロ」ではありませんでした。また、さや氏が言及した「バイオリン」についても、独立した「バイオリン科」はなく、「管弦打コース」が存在し、その出願者数はゼロではありませんでした。

参政党さや氏からの正式な回答と訂正

本誌が参政党に対し、書面でさや氏の発言の真偽を問いただしたところ、さや氏本人から以下の回答が寄せられました。

「お問い合わせ頂きました発言は、大阪芸術大学(『大阪芸大』といいます)の教授の方のお話を、友人から伝え聞いた内容に基づくものです。確かに、大阪芸大に『ピアノ科』はございませんが、演奏学科に『ピアノコース』はございます。私は、そちらを指して発言を致しました。ご指摘の発言は、『ピアノコース』に訂正致します。」

また、「バイオリン」に関する発言については、「確かに募集における『弦楽器』はゼロではありませんが、『バイオリン』はゼロであったと聞いております。私の演説の中でも『弦楽器』と発言した後『バイオリン』と言い直しておりまして、また、『バイオリン』も広くは『弦楽器』の一つですので、こちらの訂正は不要と考えております」と説明しました。さや氏は、初めての長期選挙戦で「日々正確な発言を心がけておりますが訂正を要することもあるかと思います。この度のご指摘には感謝致しております」と締めくくっています。

結論

参政党のさや氏による「大阪芸大ピアノ科ゼロ」発言は、一部情報に誤りがあったものの、本人の釈明と「ピアノコース」への訂正が行われました。選挙活動中の発言の正確性は、有権者が候補者の政策や人柄を判断する上で極めて重要です。今回の件は、公の場で発信される情報、特に具体的なデータに関する言及においては、より一層の確認と正確性が求められることを示唆しています。

参考資料

  • 参政党・さや氏の街頭演説内容(7月2日 新宿・歌舞伎町)
  • 大阪芸術大学 公式ウェブサイト 入試情報 令和7年度入試データ
  • 本誌取材による参政党からの回答(書面)
  • Yahoo!ニュース(Jisin記事)