北海道、雄大な自然が広がるこの地で、近年、ヒグマによる被害が深刻化しています。2023年には「OSO18」と呼ばれる凶暴なヒグマが、多くの家畜を襲い、人々を恐怖に陥れました。OSO18は最終的に駆除されましたが、ヒグマ問題は依然として解決されていません。
ヒグマによる被害の実態と猟友会の役割
環境省のデータによると、2023年には北海道で9名がヒグマの被害に遭い、うち2名が命を落としました。2024年もすでに3名の被害が出ており、ヒグマの脅威は現実のものとなっています。過去には「三毛別羆事件」のように、複数の犠牲者が出る痛ましい事件も発生しています。
alt: 駆除されたOSO18の画像
これまで、ヒグマから人々の暮らしを守ってきたのは、主に猟友会のハンターたちです。猟友会は狩猟免許を持つ者で構成され、市町村からの要請を受けてヒグマの駆除を行っています。しかし、近年、猟友会を取り巻く状況は大きく変化しています。
駆除活動の壁:銃刀法違反と低い報酬
2018年には、砂川市でヒグマを駆除したハンターが、銃刀法違反の疑いで書類送検される事件が発生しました。不起訴処分となりましたが、北海道公安委員会は銃所持許可を取り消す処分を下しました。ハンターは裁判で争いましたが、二審で敗訴。この事件は、猟友会に大きな衝撃を与えました。
alt: 定点カメラが捉えたOSO18の姿
さらに、ヒグマ駆除の報酬が低いことも問題となっています。命がけの任務にもかかわらず、十分な報酬が得られない現状に、多くのハンターが不満を抱えています。例えば、奈井江町では、2024年5月まで、日当はわずか4800円でした。その後、報酬は引き上げられましたが、依然として低い水準です。
猟友会の苦悩:命懸けの任務と不当な扱い
北海道猟友会は、ヒグマ駆除要請への対応を見直す動きを見せています。背景には、銃刀法違反の冤罪リスクと低い報酬への不満があります。「米軍の特殊部隊員、それも牙と爪を持ったランボーと戦うようなもの」と、あるハンターはヒグマ駆除の危険性を訴えています。
ヒグマ問題の未来:共存への模索
ヒグマとの共存は、北海道にとって重要な課題です。ハンターたちの負担を軽減し、安全な駆除活動を実現するためには、行政の支援が不可欠です。また、ヒグマの生息地を保全し、人里への出没を防ぐための対策も必要です。
北海道の豊かな自然を守るためには、ヒグマと人間の共存の道を模索していく必要があります。関係各所が協力し、持続可能な解決策を見出すことが求められています。