近年の自動車市場では、トヨタGRスープラやスズキ スイフトスポーツといった人気スポーツカーが相次いで生産終了となり、トヨタGRカローラやホンダ シビック タイプRのようにカタログに掲載されながらも購入が困難なモデルが存在します。このような状況下で、日産フェアレディZのように受注が再開されるなど、一部に明るい兆しも見られます。本記事では、2025年7月時点において、新車で入手可能な国産スポーツカーの中から、特に注目すべき5車種を厳選してご紹介します。現在の市場動向を踏まえつつ、それぞれのモデルが持つ独自の魅力と購入の選択肢を深掘りします。
現行国産スポーツカーの多様なラインナップ
トヨタ GR86 / スバル BRZ
現在、新車で販売されているスポーツカーの代表格として挙げられるのが、トヨタ GR86とスバル BRZの兄弟車です。両モデルは、スロットル特性、サスペンションセッティング、内外装の細部にわずかな違いがあるものの、基本的には共通のプラットフォームとパワートレインを持つスポーツカーです。GR86はより手頃な価格設定でスポーティな走行特性を追求しているのに対し、BRZは価格がやや高く、グランドツーリングに適した洗練された乗り味が特徴とされています。
流麗なフォルムを持つスバル BRZ
全長4265mm、全幅1775mm、全高1310mmという扱いやすいボディサイズに、2.4L水平対向4気筒自然吸気エンジンがもたらす適度なパワーと、FR(フロントエンジン・リアドライブ)駆動方式の組み合わせは、日常使いから本格的なサーキット走行まで、幅広いシーンで純粋なドライビングの楽しさを提供します。後席は狭いものの4人乗りの定員を持ち、タイヤ4本を積載できる荷室スペースも確保されており、スポーツカーとしては平均以上の実用性を兼ね備えています。実用性と価格、そして運転の楽しさを含めた高い総合バランスが、GR86とBRZの大きな魅力と言えるでしょう。
スポーティなフロントデザインのトヨタ GR86
新車販売価格:293万6000円〜381万7000円
マツダ ロードスター / ロードスターRF
オープンスポーツの醍醐味を味わいたいと考えるなら、マツダ ロードスターが最良の選択肢となるでしょう。ロードスターのボディサイズは全長3915mm、全幅1735mm、全高1235mmと非常にコンパクトです。136psを発揮する直列4気筒ガソリンエンジンを搭載した2シーターのFRオープンスポーツカーであり、特にソフトトップモデルの車両重量は1トン強と軽量です。
風を切って走るマツダ ロードスター
エンジンパワーは控えめながらも、マニュアルトランスミッションを駆使することでその動力性能を存分に引き出し、FRならではのシャープなハンドリングと軽快なフットワークを堪能できる数少ないクルマです。もし動力性能に物足りなさを感じるのであれば、184psの2.0L直列4気筒エンジンを搭載し、10km/h以下の速度であればスイッチ操作一つでルーフを開閉できる電動リトラクタブルハードトップを備えたロードスターRFも選択可能です。
エレガントな電動ハードトップを備えたマツダ ロードスターRF
車体後方には約130Lのトランクスペースが用意されていますが、車内の荷物スペースはほとんどなく、実用性は皆無に近いと言わざるを得ません。しかし、その実用性の低さを補って余りあるほどの、純粋な運転の楽しさがロードスターには備わっています。
新車販売価格:289万8500円〜430万8700円
まとめ
自動車市場が変化し、多くのスポーツカーが姿を消したり入手が困難になったりする中でも、日本の自動車メーカーは魅力的な選択肢を提供し続けています。トヨタGR86/スバルBRZは、高い総合バランスと幅広いシーンでの運転の楽しさを提供し、マツダ ロードスター/ロードスターRFは、オープンスポーツならではの軽快さと純粋なドライビングプレジャーを追求しています。これらのモデルは、現代において新車でスポーツカーを求めるドライバーにとって、依然として魅力的な選択肢であり、それぞれの個性を理解することで最適な一台を見つけることができるでしょう。