日産自動車の業績低迷を受け、9000人もの人員削減を発表した矢先、アクティビスト(物言う株主)として知られるエフィッシモ・キャピタルが日産株の2.5%を取得したというニュースが駆け巡りました。一体、エフィッシモの真の狙いは何なのでしょうか?株価低迷にあえぐ日産の未来はどうなるのか、詳しく解説していきます。
エフィッシモ、日産株取得の背景
日産は、電気自動車販売の不振や中国市場における価格競争激化など、自動車業界全体の逆風を受けて苦戦を強いられています。全従業員の7%に相当する9000人の人員削減、生産能力の20%縮小を発表するなど、経営再建に必死に取り組んでいる最中です。株価も低迷し、株価純資産倍率(PBR)は東証プライム上場企業で一時最下位となる0.2倍まで落ち込んだ時期もありました。このような状況下で、エフィッシモが日産株を取得したことは、大きな波紋を広げています。
日産自動車の工場
エフィッシモの狙いを海外メディアはどう分析?
イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙は、日産の時価総額が1兆5000億円を下回ったことで、アクティビストの標的となるのは時間の問題だったと指摘。自動車業界全体の逆風の中でも、日産の業績低迷は特に深刻だと報じています。
エフィッシモの狙いについては、2つの可能性を挙げています。1つは、ルノーとの提携関係が希薄化する中で、日産がホンダとの連携強化を模索していること。日産の危機的状況が、ホンダによる日産への出資を促す可能性があるという憶測が広がっているようです。
日産車体完全子会社化への圧力?
もう1つの可能性は、日産が50%の株式を保有する車両組立会社「日産車体」への影響です。エフィッシモは既に日産車体の株式を約30%保有しています。金融業界関係者の中には、エフィッシモが日産に日産車体の完全子会社化を迫るために、日産株を取得したのではないかと推測する声も上がっています。
自動車の組立工場
しかし、日産が日産車体を完全子会社化するには巨額の資金が必要となります。日産にその資金力があるのか、大きな課題として立ちはだかっています。自動車業界アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「日産にとって、エフィッシモの株取得は更なる経営改革を迫られる大きなプレッシャーとなるでしょう。今後の動向を注視する必要があります」と述べています。
日産の未来は?
エフィッシモの真の狙いはまだ見えてきませんが、日産の経営再建は待ったなしの状況です。電気自動車市場での競争激化、世界的な経済不況など、日産を取り巻く環境は厳しさを増しています。エフィッシモの動向が、日産の未来を大きく左右することは間違いないでしょう。