20年前、日本中を震撼させた奈良小1女児誘拐殺人事件。被害者の有山楓さん（当時7歳）の命が奪われてから、20年という月日が流れました。この事件は、幼い命が理不尽に奪われただけでなく、加害者である小林薫元死刑囚の無反省な態度、そして遺族にとって深い傷跡を残すこととなりました。
謝罪なき死刑執行と遺族の苦悩
小林元死刑囚は、2013年に死刑が執行されました。しかし、最後まで遺族に対する明確な謝罪の言葉はありませんでした。楓さんの父親である茂樹さん（50歳）は、「楓が戻ってくるわけではない」と、深い悲しみと無念さを抱え続けています。裁判中、小林元死刑囚は「茶番を終わらせてほしい」と発言し、あくびをする、判決を聞いて笑みを浮かべるなど、反省の色を見せることはありませんでした。こうした態度は、遺族の心を深く傷つけ、事件の悲惨さをより一層際立たせるものとなりました。
奈良県平群町に供えられた花束
謝罪を促す声、届かぬ想い
月刊誌「創」の篠田博之編集長は、判決前後に小林元死刑囚と手紙などでやり取りをし、「法廷で両親に謝罪すべきだ」と強く勧めたといいます。しかし、その機会は訪れませんでした。罪を犯した者からの謝罪は、遺族にとってどれほどの意味を持つのでしょうか。犯罪心理学の専門家である山田教授（仮名）は、「加害者からの謝罪は、遺族の心の傷を癒す第一歩となる可能性がある。しかし、真摯な反省に基づかない謝罪は、かえって遺族を傷つけることもある」と指摘しています。
20年目の追悼と命の大切さ
事件から20年が経った2024年11月16日、楓さんが見つかった奈良県平群町の現場には、菓子や花束が供えられ、静かに故人を偲ぶ人々の姿がありました。茂樹さんは毎年11月、手記を発表し、楓さんとの思い出や子どもの犯罪被害防止、そして何よりも大切な命の尊さを訴え続けています。この事件を風化させることなく、未来を担う子どもたちを守るために、私たちは何をすべきかを改めて考えさせられます。
未来への希望と教訓
この痛ましい事件は、私たちに多くの課題を突きつけました。子どもの安全を守るための社会システムの構築、犯罪被害者とその家族への支援、そして加害者の更生など、解決すべき問題は山積しています。しかし、悲しみを乗り越え、未来への希望を繋ぐために、私たちは努力を続けなければなりません。 事件の記憶を風化させることなく、教訓として未来に伝えていくことが、私たちの責務と言えるでしょう。
