ペルーのリマで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。11月16日に行われた集合写真の撮影で、米中両首脳の立ち位置が注目を集めました。中国の習近平国家主席が前列中央付近に位置する一方、バイデン米大統領は後列に控えるという構図が、現在の国際情勢を象徴的に映し出しています。
集合写真に見る米中のパワーバランス
APEC首脳会議の集合写真で、前列中央付近に立つ習近平国家主席と後列に立つバイデン米大統領
習近平主席は議長国ペルーのボルアルテ大統領の隣に立ち、まさにスポットライトを浴びる形となりました。これは、APEC首脳会議開幕前日に、中国資本主導で建設された巨大港の開港式典が行われたことも影響していると考えられます。ペルーにとって、アジアと南米を直接結ぶこの港は経済発展の大きな鍵であり、習主席の存在感はより一層際立つこととなりました。国際政治アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「この港湾事業は、中国の経済的影響力が南米にまで拡大していることを示す象徴的な出来事だ」と指摘しています。
一方、来年1月の退任が決まっているバイデン大統領は後列に位置していました。再選を目指した大統領選からの撤退を余儀なくされたバイデン大統領は、レームダック(死に体)状態と見なされており、その立場が写真にも反映された形です。APEC首脳会議では、米国のトランプ次期大統領を見据え、保護主義をけん制する宣言が採択されました。この点からも、米国の政治的影響力の低下が懸念されています。
ペルーと中国の蜜月関係
ペルーにとって、中国資本による巨大港の開港は歴史的な出来事となりました。ボルアルテ大統領は、この港がアジアと南米の海上輸送路を直接結び、「歴史的な瞬間」だと強調しました。中国との経済協力強化は、ペルーの経済成長に大きく貢献すると期待されています。経済ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「ペルーは資源輸出国であり、中国との経済連携は更なる発展の機会をもたらすだろう」と分析しています。
日本の影は薄く…
日本の首相は首脳会議に出席していましたが、集合写真には姿が見えません。これは、ペルーのフジモリ元大統領の墓参りを優先したためとされています。国際舞台における日本の存在感を高めるためには、更なる外交努力が必要と言えるでしょう。
まとめ
APEC首脳会議の集合写真は、米中関係の現状、そして国際社会におけるパワーバランスの変化を如実に表す一枚となりました。中国の経済的、政治的影響力の拡大が鮮明になる一方で、米国の影響力は低下傾向にあることが改めて浮き彫りとなりました。今後の国際情勢の行方に注目が集まります。