11月17日に行われた兵庫県知事選挙で再選を果たした斎藤元彦前知事(47)。一夜明けた18日、報道陣の取材に対し、県政を前に進める決意を示した。
【写真あり】斎藤前知事を”アシスト”した「机叩き動画」の相生市長
「斎藤氏については、今年3月に当時の県幹部職員がパワハラ等を告発する文書を報道機関などに送付。この文書について斎藤氏は”事実無根の内容が多々含まれている”などと批判。その後、元幹部は県の公益通報制度を使って内部通報を行いましたが、県がその調査を待たずに元幹部を停職3カ月の懲戒処分を行ったことが問題視されることに。告発した元幹部職員は証人喚問の前に自死とみられる形で亡くなっています。
結果として百条委員会が開かれ、斎藤氏は県議会から不信任決議を可決されて失職しました」(全国紙記者)
出直し選が開かれた経緯を見ても、序盤は「再選は厳しいのでは」という声も多かったが、終盤からSNSでの後押しもあって斎藤氏は猛烈な追い上げを見せ、110万票以上を獲得して有力視されていた稲村和美候補を破って勝利した。
“返り咲いた”形となった斎藤氏は18日、自身に不信任を突きつけた県議会について「民意を受けた後で、どういった関係性になっていくかも見定めさせていただく」と話し、県職員についても「民意を得たので、職員の皆さんは知事部局として一緒にやっていくのが地方公務員の責務」だと、選挙で”民意を得た”ことを強調した。
また、公益通報をめぐる元幹部職員への対応については「これまで説明しているとおり、県としての対応は適切かつ法的にも問題なかったというのが私の見解」と一貫して”問題なかった”と主張。百条委員会などの調査については「必要に応じて私も調査に協力していくが、一方で県民の皆さんは施策・公約への関心が高いので、来年度予算に力を入れていくのが大事」と述べ、政策を進めていくことの重要性を説いた。
今回の勝利で民意を得たことは疑いようのない事実だが、同氏にまつわる疑惑がすべて払拭されたわけではない。
「斎藤氏のパワハラ問題などを指摘した告発文書を巡る解明作業はまだ続いています。百条委員会は従来の予定通り今月25日に斎藤氏の証人尋問を実施する決定しました。これまでの調査をもとに斎藤氏に総括的に問いただす予定で、年内に調査報告書をまとめる予定だといいます。
また、百条委とは別に、弁護士6人から構成された県の第三者委員会の調査も依然続いています。資料の収集や関係者への聞き取りを進めていて、告発文書で指摘されているパワハラを含む疑惑の真偽のほか、公益通報を巡る県の対応についても調査しています。来年3月をめどに報告書をまとめる予定です」
選挙戦では“実はパワハラはなかった”“斎藤知事はハメられただけで、本当は悪くない”といった言説もネット上で拡散された。県知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)も自身のYouTubeで「テレビや大手新聞は知事がパワハラしていたことについて、何の根拠もなく噂話で報じている」などと発言しているが――。
「百条委はパワハラ問題について、県職員約9700人を対象にアンケートを実施し、6725人から回答を得ました。パワハラを『直接目撃した』と答えた職員は140人以上、『実際に知っている人から聞いた』と『人づてに聞いた』はあわせて2711人。直接の目撃と合わせると2851人、回答者の42%が知事のパワハラを知っていたことになります。つまり、現時点で斎藤氏は”パワハラはしていない”と断定できる要素はまだありません。
政策だけでなく斎藤氏の”無実”を信じて投票した人も多いでしょうが、”パワハラ”や”公益通報者潰し”の問題はこれから調査結果が明らかになります。結果次第では斎藤氏の評価は大きく変わる可能性もあります。そのとき斎藤氏はどこまで持ち堪えられるでしょうか」(前出の記者)
未解決問題が山積みにもかかわらず「民意を得た」と前向きに語った斎藤氏に対して疑問の声も続出している。
《少なくとも本人が大きな顔で「民意を得た!」と言うのは間違いだと思う》
《つくづく今回の選挙は県職員を見捨てた選挙だと思い知らされる。パワハラについてのアンケート結果は無視され、パワハラ知事に民意を得たと言わせる選挙結果。あと、選挙は裁判ではないよ》
《民意と文書問題に対して適切、かつ法的に問題がなかったかどうかは別問題ではないのでしょうか。今回の当選によって行政的な部分を進めていってもらうことは大切だと思いますが、それによってすべてがうやむやになるのではなく、様々な問題に対しては、これからもきちんと調査を進めてもらいたいと思います》
《SNS上で偽・誤情報、陰謀論まで飛び交ったと言われる今回の選挙。そこで得た民意は移ろいやすいと思っておくことが大切だ》
《疑惑は何一つ解決していない これからどうなるか?》