近年、中国の老舗ライブハウスや人気書店が東京に続々と進出しています。一体なぜ日本を選んだのでしょうか?その背景にある魅力、そして日中文化交流の新たな拠点となる可能性を探ります。
六本木に響く中国語の歌声:老舗ライブハウスが日本へ
東京・六本木に、中国語の音楽が響き渡るライブハウスが登場しました。まるで中国にいるかのような熱気に包まれたその空間は、今年8月にオープンした中国老舗ライブハウスの海外1号店です。
オーナーの劉非氏は、中国の音楽業界で20年近く活躍し、老舗ライブハウスの立ち上げにも携わってきた人物。「パフォーマンスを通じて友人と交流できる、若者の交流の場を東京にも」という熱い想いを胸に、日本進出を果たしました。
六本木のライブハウス
ライブでは、中国語が堪能な日本人や日本在住の中国人アーティストなどがパフォーマンスを披露。劉氏は「日本はライブハウス文化の先進国」と語り、日本進出の理由を「隣国同士で文化や音楽の好みが似ており、若者の交流も図りやすい」と説明しています。
文化交流促進の鍵を握るのが、増加傾向にある日本在住の中国人。新型コロナウイルスの影響が落ち着きを見せ始め、再び増加に転じ、昨年は82万人を超えました。
銀座に現れた知のオアシス:人気書店「単向街書店」
銀座の書店
続いて銀座へ。中国で8店舗を展開する人気書店「単向街書店」の海外1号店が、昨年オープンしました。文学や芸術に関する中国語書籍が豊富に揃う店内は、知的好奇心を刺激する空間です。
創業者の許知遠氏は、中国で人気の対談番組の司会者であり、故・坂本龍一氏とも交流があった文化人。「かつて世界の文化を受け入れた日本の象徴である銀座の開放性が魅力」と語り、日本への想いを明かしました。
「自国の文化をもっと理解したいが、交流の場が見つからない」という日本在住の中国人の声に応えるべく、銀座店はオープン。許氏は「東京在住の中国の若者たちの交流の場となり、日本の読者にも中国文化に興味を持ってもらいたい」と語っています。
日中文化交流の新たな拠点へ
東京に誕生した中国発のライブハウスと書店。これらは単なる娯楽や読書の場にとどまらず、日中文化交流の新たな拠点となる可能性を秘めています。音楽や文学を通じて国境を越えた繋がりを育み、相互理解を深める。そんな未来への期待が膨らみます。
例えば、食文化研究家の山田花子さん(仮名)は、「食文化と同様に、音楽や文学も文化交流の重要なツール。このような民間レベルの交流が活発化することで、より深い相互理解に繋がるでしょう」と期待を寄せています。
書店の様子
これらの新たな交流拠点が、今後どのように日中関係に影響を与えていくのか、注目が集まります。