顧客からのセクハラ、止まらない実態:レンタルビデオ店、化粧品売り場…標的にされる女性店員たち

サービス業で働く女性店員に対するカスタマーハラスメント(カスハラ)やセクハラが深刻な問題となっています。2025年4月1日からは東京都でカスハラ防止条例も施行されるなど、社会全体の問題意識は高まりつつあります。しかし、残念ながら客という立場を利用したセクハラ行為は依然として後を絶ちません。特に、化粧品売り場やレンタルビデオ店などでは、女性店員が標的にされるケースが報告されています。今回は、実際に被害に遭った女性たちの声を通して、その実態に迫ります。

レンタルビデオ店で横行する電話セクハラ

32歳の女性、Sさんはレンタルビデオ店で働いています。彼女が最も多く経験するのは、電話口でのセクハラです。

「毎日、数十件もの問い合わせ電話を受けます。ほとんどは話題の映画や新作CDに関するものですが、中には大人向け作品に関する問い合わせもあります。作品名を尋ねられること自体は問題ありませんが、一部の男性客は、女性店員に生々しい作品タイトルを復唱させようとしてくるのです。」

レンタルビデオ店の電話(イメージ)レンタルビデオ店の電話(イメージ)

Sさんは、男性客が作品タイトルに含まれる卑猥な言葉を言わせようとしてくる様子を語ります。

「男性スタッフにはこのような行為はありません。おそらく、女性である私の反応を楽しんでいるのでしょう。『先月発売の〇〇さん出演の作品ですよね?』と確認しても、『タイトルを聞かないと分からないな~』『タイトル言って? 聞こえないよ?』と執拗に言わせようとしてきます。あまりにも気持ち悪いので、『男性スタッフに代わりますね』と言うと、すぐに電話を切られます。」

このような迷惑行為が繰り返されたため、Sさんの勤務先では、大人向け作品に関する問い合わせには必ず男性スタッフが対応するルールが設けられました。

化粧品売り場でのセクハラ被害の実態

SNS上では、化粧品売り場でのセクハラ被害も頻繁に報告されています。店員につきまとったり、「ネイル見せて」と言って手を触ったりするなど、客という立場を利用したセクハラが横行しているのです。

美容業界に詳しい専門家、A氏(仮名)は次のように述べています。「化粧品売り場は、美容に関心のある女性が多く訪れる場所です。そのため、一部の男性は、女性店員と親密になれる機会と勘違いしている可能性があります。また、商品を試す際に身体的な接触が生じることもあるため、セクハラ行為がエスカレートしやすい環境と言えるでしょう。」

これらのセクハラ行為は、女性店員にとって大きな精神的負担となっています。安心して働ける環境を作るためには、企業側が対策を強化するとともに、顧客一人ひとりがハラスメントに対する意識を高めることが不可欠です。

エステ・脱毛サロン… 続く被害の実態

残念ながら、客によるセクハラ被害は、レンタルビデオ店や化粧品売り場だけに留まりません。エステや脱毛サロンでも同様の事案が報告されています。後編では、これらの現場で働く女性たちが直面するセクハラの実態について詳しく見ていきます。

まとめ

顧客からのセクハラは、多くの女性店員にとって深刻な問題です。安心して働ける環境を作るためには、社会全体でこの問題に取り組む必要があります。後編では、エステや脱毛サロンでのセクハラ被害の実態を紹介するとともに、解決策を探っていきます。