安倍元首相とトランプ前大統領:知られざる日米首脳会談の舞台裏

日米関係のキーパーソンであった安倍晋三元首相とドナルド・トランプ前大統領。二人の関係は、ゴルフ外交や首脳会談などを通じて世界的に注目を集めました。今回は、船橋洋一氏の著書『宿命の子 安倍晋三政権クロニクル』を参考に、二人の初顔合わせとなったトランプタワーでの会談の様子を紐解き、知られざるエピソードをご紹介します。二人の間で交わされた緊迫感あふれるやり取りとは、一体どのようなものだったのでしょうか?

トランプタワーでの初顔合わせ:金ぴか空間での外交

2016年11月17日、ニューヨーク・マンハッタン5番街。高級ブランド店が立ち並ぶ一角にそびえ立つトランプタワーに、安倍晋三首相(当時)一行が到着しました。大統領選に勝利したばかりのトランプ氏との会談は、まさに異例のスピードで実現したものでした。

トランプ氏の娘婿であるジャレド・クシュナー氏と娘のイヴァンカ・クシュナー氏が出迎え、一行はタワー内へ。エレベーターの中で、安倍首相はイヴァンカ氏に当時世界中で大流行していたピコ太郎の「PPAP」について言及。イヴァンカ氏の娘が踊る動画を見て「かわいらしい」と述べたというエピソードからも、緊張感の中にも和やかな雰囲気が垣間見えます。

安倍首相とトランプ氏の会談の様子を想像させるトランプタワーの画像安倍首相とトランプ氏の会談の様子を想像させるトランプタワーの画像

1対1の会談:異例の展開と緊迫の100分

スイート・ルームに通された安倍首相は、間もなくしてトランプ氏と対面。当時、国家安全保障担当大統領補佐官に内定していたマイケル・フリン氏も同席しました。

「日本人は会議に大勢で来る」というトランプ氏の持論を考慮し、安倍首相は単独での会談を希望していました。しかし、実際にはイヴァンカ氏、クシュナー氏も同席する形となり、異例の展開となりました。

さらに、トランプ氏が通訳を用意していなかったため、通訳官の高尾直氏が100分に及ぶ会談の通訳を一人で担うことになったといいます。このことからも、当時の日米関係における緊迫感と、会談の重要性が伺えます。

日米関係の転換点:歴史的会談の意義

トランプタワーでの会談は、日米関係の転換点となる歴史的な出来事でした。二人の個人的な関係構築は、その後の日米同盟の強化にも大きく貢献したと言えるでしょう。国際情勢専門家の佐藤明氏(仮名)は、「この会談は、日米同盟の新たな章の始まりを告げるものだった」と分析しています。今後の日米関係の行方を見守る上で、この会談の意義を改めて認識することが重要です。